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極私的 2017年公開映画ワースト10

連続投稿3つめ。
私的ワースト10です。

何を面白いと思うかつまらないと思うかは完全に個人の感性によるものであり
下記にあげるものを好きだと言う方のことを否定するつもりは毛頭ありませんし
映画製作は凄まじい労力を要します。
製作陣には敬意を示しつつ、完全に個人の好みとして書きました。

あとツッコミ入れるためにネタバレしてます。

10.『氷菓』
氷菓
密室劇の映像化は難しい。

TVアニメ版のファンから安易なアニメ実写化として
叩かれまくっていた作品。
それは大きな勘違いで原作の古典部シリーズは小説なんで
これは原作小説の映像化作品です。

この作品についても悪感情があるとかではなく
密室劇っていうのは本当難しいんだなと再認識させてもらいました。
演出に触れたことのある方は想像つくと思いますが
こういう部屋の中でひたすら会話して進行していく話は
画変わりがさせ辛く、ロケセットなら壁をぶち抜いたり
屋根が無いので俯瞰からいったりとそれなりに構図のバリエーションも
とれなくはないですが、借り物の学校の教室では不可能なので本当にきついです。

安里監督は細かくカットを割り校舎内の移動とカットバックさせたりして
なんとかリズム良くしようとしていましたが
あまりにも話が地味すぎて「退屈」以外に表現の仕様がない作品になってしまいました。
これは監督のせいとかじゃなくもう原作がとことん映像に向いてないからとしか
言いようがないんじゃないでしょうか。

アニメ版は非常に地味な原作を
ギラギラにスーパーリアルな誇張表現で
しかも恋愛要素を大幅に付け加えることで情緒たっぷりな青春ものに脚色していましたが
アニメを手掛けた京都アニメーションと武本監督が凄いだけで
実写版が悪いとかとはちょっと言い辛いなと…。
ただ、退屈なのはどうしようもないもので。

9.『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(Fireworks, Should We See It from the Side or the Bottom?)
2017打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
オリジナルが偉大すぎた。
http://undersiege.blog112.fc2.com/blog-entry-222.html

8.『忍びの国』(Mumon: The Land of Stealth)
忍びの国
言ってることとやってる事がまるで合ってない。

天正伊賀の乱を基にしたNEO時代劇。
殺陣とカッティングの巧さで人知を超えた忍者アクションがひたすら続く
中盤くらいまでは面白かったのですが
後半に差し掛かるとだんだん話運びのぎこちなさが気になってきます。

無門という金にしか興味ない無頼漢の忍びがお国という女性と
忍びなのにまともな倫理観持ってる下山平兵衛の存在で変わっていく話…
かと思ったら全然そうではなく平兵衛は無駄死ににしか見えないし
お国はお国で「戦に行きなさい!」って無門を叱責して送り出した癖に
舌の根乾かないうちに「死んではなりません」とかほざき出して
「いやいや!戦に行かせたのお前だろうが」って思わずツッコんでしまいました
しかも無門が戦死したって聞いた時ショック受けてたし
だからお前が戦に行かせたんだって!!

そしたら段々細かいことが気になってきちゃって
金が出ないからさっさと国を見捨てて逃げ出した里の忍達を
無門は北畠家秘蔵の小茄子の価値で釣って闘わせるんですけど
そもそも信用ゼロの無頼漢がそんな物どうやって金に変えるつもりだったのかとか
味方もゲスばっかなんだから闘うよりその小茄子盗みにくるんじゃないのかとか
あとキャラクター的にも完全に侵略しにきてる織田軍の方が正統派なんですよね。
偉大すぎる親父のせいでヘタれになっちゃった信雄がペルソナを脱ぎ捨てたことで
家中が一致団結するところで完全に正義が侵略側にあるように見えちゃうんですよ。
実際狙って味方と敵のキャラクターを逆にしたんでしょうけど
それやったせいで忍側が全然魅力的じゃ無くなっちゃいました。
これが「舐めてた織田軍にやられたことで逆に伊賀の里が団結する」だったら
もう少し話がスマートだったのになと。

部分部分は面白いのに通して観ると残念。
そういう作品でした。

7.『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(The Mummy)
ザ・マミー
1パイも出てこない『スペース・バンパイア』

ユニバーサルによる過去ホラー作のリブート企画「ダーク・ユニバース」の第一弾。
邪悪な古代エジプトの王族が蘇ってくるという内容ゆえに
公開前から『ハムナプトラ』シリーズのパチ物臭が半端無かったですが
予想を覆して出てきたのはエジプト版『スペース・バンパイア』でした。

ストーリー的にもジキル博士が存在自体不要だったり
そもそもこいつの作った組織も仰々しく出てきた癖に
何がしたかったのか全くわからないまま壊滅
邪悪なエジプトの王女が操るパワーの原理も不明
そもそもなんでこいつは異教徒である十字軍の遺体を操れたんですかね?
良いのかお前ら?異教徒だぞ。騎士の矜持はどこにいった。
あとトム・クルーズがなんかすごい力に目覚めて最後にマトリックス無双して
続編匂わせて終わります。
一体なんで急に強くなったのかは観ていてもよくわかりませんでしたが
とりあえず批評的にも興行的にも失敗してしまったので多分続編がないのはわかりました。

纏めるとオッパイが出てくる分『スペース・バンパイア』見た方がお得だと思います。

6.『ハルチカ』(Haruta & Chika)
ハルチカ
暴力反対。

吹奏楽にかける青春。
いいですね、青春の躍動感に音楽、最高の組み合わせです。
でも暴力はダメです。
映画内で事あるごとにチカはハルタに暴力振るうんですけど
男女逆に考えてみましょう。
暴力は暴力です。
劇中で幼い頃チカがハルタに暴力振るったのはハルタを守るためと説明されてましたが
高校時代でもボコボコ殴ってました。

あとすごく気になったのがどこにフィクションラインがあるのか
わからなくなると言う点で
部員勧誘パートの終了直後とラストで急にミュージカル調になるんですよね。
冒頭からそうなら「そういうもの」として見てられたんですが
急にそれまで守ってきたフィクションラインを飛び越えてくるので
どこまでリアルでどこからリアルじゃないのかわからなくなっちゃいました。

あと個人的に勘弁して欲しいのが
仲間を鼓舞するためにみんなで押しかけて演奏するっているパターンで
去年の「青空エール」でもすごく気になったんですけど
多少は若気の至りで許されても劇中で2回もやるのはやめて欲しかったです。
いいものっぽく描かれてましたけど関係ない人にとってはただの迷惑行為ですからね。

5.『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(Sword Art Online The Movie: Ordinal Scale )
オーディナル・スケール
設定が雑。

ターゲット層が明確なニッチなアニメファン向けアニメ映画では
昨年最大のヒット作。
いや、私このシリーズTV版を全話見ていたくらいの知識なんですけど
なんか設定に違和感というかおかしく感じるところが多く
なんでAR空間で実質生身で戦ってるのに特に鍛えてもいない奴が三角跳びとかしてんの?とか
チート使ってた奴はなんで最初からキリトが障害になりそうだってわかってたのに
レベル上げしてる間に倒さなかったの?とか
記憶をスキャンするのになんでコピーじゃなくて本人の記憶消すの?とか
ゲーム中でやられるとヤバいの分かってるのになんで皆AR用のデバイス外さないで
アホみたいに闘い続けてるの?とか
そもそもなんで最後バトルに展開したの?闘う必要あった?
とか展開と設定のノイズが多すぎて話に全く集中できませんでした。
根本的な疑問なんですけど本当に誰かを始末したいなら、AR内の拡張現実空間で戦わないで
闇討ちして物理で殴った方が早いし確実じゃないですかね?

戦闘描写も作品の売りの一つなはずですが
闘いに駆け引きがないというか、ただ叫んで突っ込んでいってるだけにしか
見えないのも個人的にはちょっと…。
その点だけで言えば同じニッチ層向けアニメでも
『Fate/stay night』の方が圧倒的に優れていました。

アニメーション自体のクオリティは素晴らしく
ドラマパートに関しては演出面でも感嘆しました。
が、根本的にキャラクター設定が私の感性に合わないらしく
どうしてもオタクがイキッてるだけにしか見えませんでした(クラインとエギル以外)。

ファンの間では概ね高評価で受け入れられたようですが
この作品はあらゆる意味でTVシリーズを全話楽しんで見られた人向けなんですね。
私もアインクラッド編は大好きなんですが、
本作も含めてどうしてもそれ以外のエピソードが蛇足にしか見えないもので。

4.『鋼の錬金術師』(Fullmetal Alchemist)
鋼の錬金術師
ビジュアルが受け入れられない。

一番キツかったのがオープニング。
髪をブリーチしたちゃり毛と襟足の長い少年…じゃなくてエドと
髪をブリーチしたちゃり毛と襟足の長い少年…じゃなくてアルが
ママを蘇らせるため人体錬成をするこのシークエンス。
なにがやばいって、自主映画でも今日び滅多に見ないパーフェクトな棒読み
なにがやばいって、タイトルクレジットの間抜けな演出。
この瞬間本作はあの2004年に公開された伝説の作品
『デビルマン』の高みに触れていた言っても過言ではありません。

あまりに凄い劇物を投与されてしまい、オープニングの時点で
本気で劇場から出たくなりましたが、賢者の石(偽)を追う最初の戦闘描写が素晴らしく
また金髪の山田涼介さん…じゃなくてエドも
茶髪の本田翼さん…じゃなくてウィンリィも冒頭の少年たちに比べれば
「そういう物」として受け入れられなくもなってきます。

またメイクのお陰でラスト(松雪泰子さん)あたりは我慢できる範疇にあり
さすが曽利文彦監督というかアルのCG造形は日本映画としては相当にハイクオリティだったので
段々違和感が無くなってきます。(違和感が無くなるとは言っていない)
金髪の蓮佛美沙子さんと大泉洋役の大泉洋さん以外。

終盤の展開で時間経過が滅茶苦茶だったり
瞬間移動でもしたのかと思うくらい急に場面が変わったりと
気になる所もありましたが少なくともカッティングやCGモデリングの面では
かなり国内作品でも良いセンに行ってました。
逆に言うと役者のビジュアルに対する違和感が半端じゃなく
ただその一点のせいで大幅に興を削がれてしまったのが残念でたまりません。

3.『たたら侍』(Tatara Samurai)
たたら侍
あり得ないぐらい話が退屈。

何も起きない話ってありますよね?
有名なところで言うと古くは『東京物語』
新しいところで探すとベストに入れた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
劇中大した事件は起きないけど終わった時に小さな変化を感じる
ストーリー性ではなく情緒を楽しむ、そういうタイプの作品です。
本作はそういう何にも起きない話です。
ただ、上記に上げた作品群と違うのは結果的に何にも起きない話になっているだけで
1大スペクタクルにするつもりで作ったら何にも起きない話になってしまった。
そういう肩すかし系映画です。

時は戦国時代、高度な製鉄技術を持つ出雲の村に住む
技術者の伍介(主人公)が立身出世を夢見て徳川家に士官⇒初戦で心おれて帰郷
と2コマ落ちみたいな展開でいきなり予想を裏切り
いかにも胡散くさい商人に唆されて、どうみても怪しいのに村を武装化したら
用心棒として胡散臭い野武士を商人がつれてきて村が乗っ取られる。
伍介ひたすら何もしないまま、商人の姦計に気付いたAKIRAが攻め込んできて
野武士を倒したのに商人に火縄で撃たれて死亡。
商人の火縄を切った後、伍介ボーっと突っ立ったまま。
その後商人の姦計はどうなったのかとかとくに描かれず
特に村の様子も何もかわらず、伍介ボーっとしたままエンディングへ。

純粋に疑問なんですけどこの話、一体どこが面白いと思って作ったんでしょうか?
始めと終わりで村にも伍介にも何の変化も見えず、主人公のはずの伍介は終始何もしないまま。
2時間ぐらい尺があるのですが、冒頭の10分と結末の10分を繋げても成立してしまうような話に
何の楽しみを見いだせばいいのか私には全くわかりませんでした。

脚本も兼ねた錦織良成監督とは、昨年ある所でお話しする機会があり
映画への熱い想いや企画を実現させる高いバイタリティを知っただけに
映画人としてはすごく尊敬しているのですがちょっとこれは…。
すいません、やっぱつまんないものはつまんないです。

2.『本能寺ホテル』
本能寺ホテル
頭の困った女性が戦国時代にタイムスリップするけど何も起きない話。

TV企画にTV演出家という約束された事故物件のフジテレビモデル。
その…なんていうか…タイトル下に書いた1行が全部なんですよね。
すごく乱暴に要約すると綾瀬はるかさんの演じる、
失業中の(軽度の知的障がいがあるようにしか見えない)流されやすい女性が
タイムスリップして信長に会った結果歴史の教師を目指すことになる話です。

タイムスリップして戦国時代に行った結果がそれって
この話タイムスリップも信長も必要ないんじゃないですかね?
信長がお人よし過ぎてそもそもこんな奴は天下統一目指さないとか
作中の一発ギャグがことごとくスベッてるとか他にも色々あるんですけど
舞台設定にあんまり意味があるように思えないのが一番気になりました。

あと演出がまんまTVドラマ。
BGM使いすぎ、説明台詞多すぎ、スローモーション使いすぎ。
話自体は上述の『たたら侍』の方が退屈だったのですが
『たたら侍』は映画的な作りにはなっていたのでこちらが下回りました。

1.『劇場版 お前はまだグンマを知らない』(You Don't Know Gunma Yet )
お前はまだグンマを知らない
無の境地を教えてくれる。

つまんなかったです。
以上。

…じゃなくて、この作品はそもそも映画として評価することが間違っているのかもしれません。
これ、映画じゃなくてコントなんですよ。
フラットに光が回って被写界深度が常に深く
人物は横並びで画面に奥行きが全くない、衣装もテラテラ。
まさに書き割を前にしてやるコントそのものです。
89分あるんですけど、同じ映像見るなら陣内智則のコントを89分見た方が
絶対幸せになれます。

本作については怒りとかさえもないです。
本当にただ「無」。
これ、多分作ってる本人たちでさえも面白いと思ってないんですよ。
作ってる方もギャグがことごとくスベッてるのは自覚してるから
変顔しながら大袈裟な抑揚でモノローグ垂れ流しにして
「ほら!ここ笑う所ですよ!」
ってTVで出すテロップの代わりに観客にサイン送ってるんです。
これはウケるって思ったから立ちあがった企画じゃなくて
吉本興業の節税対策かなんかだったんですかね?
だとしたら立派に役目を果たしたことになります。

お疲れさまでした。
 
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2017年公開日本映画 私的ベスト10

10.『きみの声をとどけたい』(Your Voice -KIMIKOE-)

きみの声をとどけたい
ベタだけどそれがいい。

http://undersiege.blog112.fc2.com/blog-entry-224.html

9.『探偵はBARにいる3』(Phone Call to the Bar 3)
探偵はBARにいる3
変わらない安定感。

毎度おなじみ道産子ご当地映画シリーズの第3段。
ストーリーがややシリアスになった反動か
ギャグの下ネタ含有度が倍増したのも個人的にはプラスです。
監督が2までの橋本一さんから吉田照幸さんに交代しましたが
どちらも職人監督で長くテレビドラマの演出に関わってきたという共通点があり
あまり差異は感じませんでした。
このシリーズはもう永遠に続いてほしいですね。

8.『勝手にふるえてろ』(Tremble All You Want)
勝手にふるえてろ
人はこじらせ過ぎるとこうなる。

2004年に『蹴りたい背中』で芥川賞の最年少受賞者となってから
文壇のアイドルとして存在感を発揮してきた綿矢りさ原作小説の映像化。

私恥ずかしながら『蹴りたい背中』以外の著書を読んだことがなく
そんな程度の予備知識のまま観賞したのですが
この『勝手にふるえてろ』をみて、綿矢先生は感性が10年以上前から
かわってないんだなと。
要するに瑞々しかったってことです。

あと、監督多分女性なんだろうなと思ったらやはり女性でした。
個人的に女子トイレのシーンと女性の靴をフィーチャーするカットがある場合は
高確率で女性監督だと思ってます。
ほら、男の監督だと女子トイレで起きてることってよくわかんないし
女性の靴に意味を持たせるのも感覚的によくわかんないんで。

7.『サバイバルファミリー』(Survival Family)
サバイバルファミリー
企画力が全て。

毎度おなじみ矢口史靖監督の企画力が光る
企画が全ての1本。

男子シンクロ、高校ジャズバンド、航空業界、林業
ときて今度は電力が消失した世界でのサバイバル生活
という実にらしい作品で、特に大きな驚きは無いですが期待値通りに
楽しませてくれる安定感は素晴らしいです。

6.『散歩する侵略者』(Before We Vanish)
散歩する侵略者
示唆に満ちた寓話。

強い作家性を持っている数少ない日本の映画監督の一人
黒沢清最新作。
人類から少しずつ物の概念を奪うことで
地球を侵略する宇宙人の話。

色々と示唆に満ちている作品ですが
個人的には概念を奪われた人というのは
アルツハイマー病の比喩なのかと。
意味を失った事で客観的には困った状態でも主観的には幸せに感じる。
意外と失う事は悪い事でもないのかもしれませんね。

5.『夜は短し歩けよ乙女』(The Night Is Short, Walk on Girl)
夜は短し歩けよ乙女
セカイ系の亜種とも言うべき独特な世界観。

なんだかんだと言ってもそれは運命だから最後は惹かれるんだよという
わりと身も蓋もない話なのに、展開があまりにも斜めを行っているために
全然それを感じさせない不思議な魅力に溢れたロマンス。

共通するキャラクターが登場する
同じ監督・同じ原作者の「四畳半神話大系」を
観ているとより楽しめます。

4.『三度目の殺人』(The Third Murder)
三度目の殺人
現代版「藪の中」。

強い作家性を持っている数少ない日本の映画監督の一人㈪
是枝裕和最新作。

ある殺人事件をめぐり関係者が全員違った証言をする
いわゆる「信頼できない語り手」的なサスペンス映画。
これを同じ人物でも人によって全く見え方が違うという
人間の多面性を描いた寓話として観るか
それともスノッブな犯罪者に弁護士が振り回される話として観るか
は人次第ではないでしょうか。

ただ、冒頭の空撮カットはちょっと違和感しました。
是枝監督はこういうダイナミズムとは無縁のかなり禁欲的な演出をする
イメージだったので。
あとなんか全体のトーンから浮いちゃってる感じも。
多分ドローンで空撮したんだと思われ
今はインディーの世界でもドローンで空撮する人は割とおり
こんな安く空撮できるなら使っちゃいたくなるのも当然ですかね。

3.『Fate/stay night [Heaven's Feel] 第一章「presage flower」』(Fate/stay night: Heaven's Feel)
Fate stay night
一見さんお断り。ニッチでピンポイントな中二病伝奇。

映画というのはそれ1本で完結しているコンテンツであって欲しい。
そう思います。
故にこういったオタク向けのピンポイントなアニメ映画はあまり
良いものとは思えないのですが…。

伝説的大ヒットを記録したエロゲの映像化作品であり
元のゲームが共通ルートから3つのストーリーに分岐するということから
1ルートだけを映像化しても何のことやらわからない作りになっている上に
共通ルートの部分をオープニング映像に思いっきり凝縮して流し
「分からない人は付いてこなくていい」という強烈なメッセージを冒頭から発してきます。

こういう作品を映画として評価すること自体がそもそも間違っているのかもしれません。
しかし、意味がわからなくなることを承知の上で
流れ上必要なシーンをカットし逆に原作の補完をするためのシーンを大量に追加したことや
戦闘場面での数の暴力にも思えるヌルヌルなアニメーションを見ると
製作陣の偏執狂的なこだわりには敬意しか感じません。

2.『帝一の國』(Teiichi: Battle of Supreme High)
帝一の國
大仰を突き詰めるとこうなる。

古屋兎丸によるシュールギャグ政治ピカレスクロマン作品の実写化。
私はコミックを実写化するときには、漫画的表現は避けて
逆に出来るだけリアルに抑えた芝居でやるべきだと思っているのですが
大仰さというのもここまで突き抜けてアホっぽさを狙えば効果的なんですね。
あと、非常に漢密度高い漢臭い作品ですが
狙ってか皆の関係が中々ホモホモしいのでそういう方面の需要も取り込めたはずですが
興行的には失敗だったようです。
勿体無い!

2010年代に入ってからコミックの実写化もなかなか
高クオリティのものが増えてきており嬉しい限りです。

1.『夜明け告げるルーのうた』(Lu Over the Wall )
夜明け告げるルーのうた
これは湯浅版『崖の上のポニョ』だ!

5位に続いて2本目の湯浅監督作。
一言で言うなら湯浅版、崖の上のポニョ。
しかも本家ポニョより遥かに出来が良い!(個人的見解)
仮に同じ題材おなじ脚本で20年前に宮崎駿監督が撮ったとしても
こんな尖った魅力を持つ作品には絶対にならなかったと断言できます。

ジブリが追い求めてきた崩さないまま綺麗な作画で美しく動かす
とは対極な崩したデザインでとにかくヌルヌル動かす超デフォルメされた演出は
アニメでなければ許されないアニメだからこその魅力です。
20年前『マインド・ゲーム』の頃は先鋭的すぎてあまり一般受けしなかった
湯浅監督ですが時が経ちちょっと作風がマイルドになったたためか
アバンギャルドな部分とベタな部分が程よく融合し、癖のあるキャラデザインが
受けいれられるなら誰にでもお勧めできます。

2016年は近年稀にみる邦画の当たり年でしたが
2017年は良いなと思う邦画が大幅に減ってしまいました。
総じてアニメ映画の方が出来が良かったのは例年通りでした。 

2017年公開外国映画 私的ベスト10

もう2月ですがあけましておめでとうございます。
毎年やってるのでこれだけはやっておこうかと。

外国映画の私的ベスト10です。

10.『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(IT)

イット “それ”が見えたら、終わり
ホラーテイストのジュブナイル映画。

モダンホラーの帝王、スティーヴン・キングの同名小説2度目の映像化。
スティーブン・キングの映像化作品というと
『ショーシャンクの空に』や『スタンド・バイ・ミー』など
非ホラー作品が高く評価される一方、本筋のホラーの映像化作は
イマイチな評価だったりするのですが
本作に関してもホラーというよりはジュブナイルものといった作りに近く
ホラーが苦手な方でも楽しめるのではないでしょうか。

9.『哭声/コクソン』(곡성 The Wailing)

哭声
悪魔は虚言に真実を混ぜる。

日本から國村隼さんが参加したことでも
ちょっと話題になった韓国映画。
ビジュアル的には祈祷師のダンスだけがひたすら
脳裏に残る作品でしたが
「悪魔は嘘をつく」という冒頭の言葉の通り
悪魔は誰だったのか?
誰の言葉が真実だったのか?
いくらでも解釈の仕方があるそういう難解なタイプの作品です。

8.『LOGAN/ローガン』(Logan)
ローガン
最後のウルヴァリン(最後とは言っていない)

2010年代の作品とは到底思えないほど
杜撰なジャパニーズ描写以外全然覚えてない
『ウルヴァリン: SAMURAI』に続くX-MENシリーズ10作目。

少女を国境まで連れていくというとことんシリアスかつ
とことんソリッドでシチュエーションを単純化したのが
大成功。
これでジャックマンウルヴァリンも終わりかと思うと
寂しいようなそうでもないような。

7.『ワイルド・スピード ICE BREAK』(The Fate of the Furious / Fast & Furious 8)
ICE BREAK
俺たちはファミリーだ。

もう永遠に続いて欲しい脳筋カーアクション映画。
ジェイソン・ステイサムが味方に加わったことでますますアホっぽさが増した以外
いつもと同じなので特に書く事ないです。

6.『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』( Guardians of the Galaxy Vol. 2)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
俺たちはファミリーだ×2。

宇宙番『ワイルド・スピード』。
血の繋がってないパーティメンバーが
チバラギのヤンキー的なノリで疑似家族として戦うという面で
『ワイルド・スピード』とやってることはほとんど一緒です。
ただこちらの方がメンバーのボンクラ感が高く
その1点でわずかに『ワイルド・スピード ICE BREAK』
を上回りました。

5.『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(Manchester by the Sea)
マンチェスター・バイ・ザ・シー
抑制の利いた地味な佳作。

暗い過去を背負った男と父を失った甥っ子の話。
過去と現在の時間軸をバラバラした構成になっており
中盤のあたりまで何の話を語ろうとしているのかが意図的に伏せられた
作りになっています。
個人的にはもう少し結末をはっきり語って欲しかったのですが
この抑制の利いた演出なら結末はあれで正解だったんでしょうね。

4.『新感染 ファイナル・エクスプレス』(し부산행 Train to Busan)
ファイナル・エクスプレス
バタリアン型ゾンビ・インKTX。

『哭声/コクソン』に続いて2本目の韓国映画です。
ソウルからプサンに向かう新幹線の中でゾンビの集団感染に遭遇してしまう
親子を中心に描いた群像劇。

エリート意識の高い自己中、妻を守って戦い抜く漢の中の漢
画に描いたような小悪党といった個性豊かなメンバーが
ちょっと改心したりしながら大体想像通りの順序でやられていくのも楽しいですし
『ミスト』パターンかと思わせつつちゃんと救いは残したまま締めるのも新鮮でした。

ゾンビの描写的に監督が『アイアムアヒーロー』好きなんだろうな
と思ったら造形面で大いに参考にしたとのコメントがあったのもポイント高いです。

3.『ベイビー・ドライバー』(Baby Driver)
ベイビー・ドライバー
シリアスなのに何かがおかしい。

冒頭が『ダークナイト』で大まかな筋が
『トゥルー・ロマンス』と『ヒート』と『ドライブ』
っぽくて話はシリアスなのにジャンルはコメディで
誰も歌って踊らないのにミュージカルでもあるという
エドガー・ライトのオタク魂全開なごちゃ混ぜ映画。

世間的に昨年のナンバー1ミュージカルは
『ラ・ラ・ランド』だったはずですが
私は圧倒的にこっちが好きです。

2.『メッセージ』(Arrival)
メッセージ
科学的にも正しいハードSF。

異星人と人類のコンタクトという
とことん使い古されたネタなのに新しいSF映画。
科学考証の正しさも話題になりました。
https://gigazine.net/news/20161116-arrival-stephen-wolfram/

ただ、本当の魅力はそういうリアリティへのこだわりではなく
使い古されたネタの中に叙述トリックを盛り込んできた
という構成の妙だと思っています。

1.『沈黙 -サイレンス』(Silence)
サイレンス
神は沈黙していたわけではない。

かのグレアム・グリーンをして「20世紀のキリスト教文学で最も重要な作家」
とまで言わしめた遠藤周作原作の映像化。
監督したマーティン・スコセッシはかつてカトリックの司祭を目指していた
ということもありこの宗教色に満ちた作品を作るにあたって
前作の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とは全く真逆の禁欲的な演出に
終始したようです。

まず、全編とおしてBGMが全くといっていいほどありません。
その代わりに虫の音や風のざわめきといったSE音が強く強調され
音響の面から作品の持つ神秘性を強くサポートしています。
またカメラワークも動きまくった前作に比べて
フィックスと動きもパンニングが多くまた画面を狭くした
抑圧的なショットが多く挟まれていました。

それでいて上映時間2時間半超えの長尺なのに苦痛さを感じさせない
というのは凄いとしか言いようがないですね。

韓国映画が2本入りました。
それ以外は全部英語圏の作品ですが
非英語圏の作品だと
フランスとポーランド合作の『夜明けの祈り』(Les Innocentes)夜明けの祈り

ボスニア・ヘルツェゴビナとフランス合作『サラエヴォの銃声』(Smrt u Sarajevu)サラエヴォの銃声

あたりは印象に残ってます。
 

撮影レポート 2年間の激闘『11月19日』


お久しぶりです。
管理人です。

今回はレビューとかじゃなく個人的な話を書きます。
実は2015年にクランクインし2年の撮影とポストプロダクションを経て完成した自作が
今週末に山形と来月17日に東京で上映されます。

そこでこの2年の激闘として時系列に沿った撮影レポートを今日は綴っていきます。

■初稿完成〜製作可能性を探る〜ポストプロダクション
2013年‐2015年


今作のタイトルは『11月19日』初稿を書き終わったのは
2013年の暮れごろでした。
当時前作の長編を製作途中でなんとなく
「ちょっと規模的に厳しそうだけどこんなのやりたいな〜」
程度のノリで脚本を書いていました。
次は全然違うことやりたいと思ったので学園物ラブストーリー
という割と今まで考え付きもしなかったものにしました。
実写映画を意識したというより当時好きだったアニメの『氷菓』(今年実写映画が作られましたね)
と『秒速5センチメートル』(新海誠監督がこんなメジャーになる事を当時は想像もしませんでした)
の影響だったんですけどね。
当初は30分くらいの、点描描写にオープニングとエンディングがくっつけてある程度の短いものを想定してましたが
話しの「オチ」にインパクトをつけるために前振りを足していったらすごい勢いで尺が伸び
最終尺は84分になってしまいました。

前作の製作と展開が終わり、そろそろ次に乗りだそうとなった時
別のもう少しやりやすそうな物を考えもしたのですが
今までと同じ事やっても面白くないなと考えちょっと無理してでもやってみるか
と決めたのは2014年の中旬ごろだったと思います。

今回は学校という撮影地に加え、限界ギリギリの超低予算のため
・場所を無償もしくは格安で貸してくれる事
・エキストラを無償提供してくれること
・制服など統一させる小物をエキストラ分含めて提供してくれること
・劇中の大道具系を運搬手配借用(無償もしくは格安)でさせてくれること
という半端じゃなく厳しい条件が付いてしまいちょっとどうすればいいのか最初見当もつかない状態でした。

そんな中2014年10月ごろ伝手をたどって「山形いいんじゃない」という紹介を貰い
丁度雪国を想定していた脚本の内容に色々な条件と金銭面がギリギリクリアできた結果
クランクインの目処が立ったのは翌年初旬に入ってからでした。

今回何よりも大きかったのは山形で製作を一手に引き受けてくれた
佐藤哲哉さんの存在でした。

佐藤さんのブログ
http://tetsuya1974.blog129.fc2.com/blog-entry-933.html

最初山形フィルムコミッションに話しを持って行った際
「これは現地の製作担当者つけないと、とてもじゃないけど撮影まで持っていけないな」
と思い、誰かやってくれそうな人を探していたときに山形自主制作映像祭を主催していた
佐藤さんを見つけ駄目もとでお願いしたら2つ返事で快諾してくださり
本当に佐藤さんいなかったらどうなっていたかわかりませんでした。

また、今回山形市内だけでなく同じ県内の新庄市でも撮影したのですが
立ちあがったばかりの新庄フィルムコミッション関さんは自主制作にもかかわらず
時には山形市内の撮影までアテンドしてくださり本当にありがたかったです。
関さんは元々東京で製作部をなさっていた方だったので現場のことも熟知されていて
とても頼もしかったです。

山形フィルムコミッション
https://www.fc-yamagata.jp/
新庄フィルムコミッション
http://www.shinjo-fc.jp/

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■クランクイン〜クランクアップ
2015年‐2016年


撮影は当初、春と秋に2分割し季節感は実景で出す。
という予定でいましたが諸々の人と場所の調整の結果
およそ一年かけて春から翌年の冬までリアルに四季を追いかけて撮影することになりました。

クランクイン前にそれまで3年続けた撮影体制を一新し
新たな撮影部と録音部を迎えることになりました。(色々あって)
また百人以上の書類を選考してオーディションし
俳優部門と製作部門の全てのピースが埋まったのは3月のこと。
クランクインが5月初旬だったので結構ギリギリのタイミングでした。

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5月のクランクインから8月、10月、12月。12月は記録的な暖冬の影響で
狙ったカットを撮れず2016年1月の追撮を経て2月に東京でロケを敢行し
長い撮影期間は終わりました。

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東京撮影では専門時代の同期生だった増谷くんが製作を手伝ってくれ
彼の尽力もあってこれまた中々の物量だった東京での撮影も乗り切る事ができました。
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■ポストプロダクション
2016年‐2017年


終了後私の方で編集を開始。
本職の方で凄まじい激務に見舞われたのと単純に尺とカット数が多かったのもあって
大体形になったのは2016年暮れのことでした。

CsunxpWUIAA5sdF.jpg

今回メインカメラにBlackmagic Design社の「Blackmagic Pocket Cinema Camera」
を使用しており、今まで一眼のEOS7Dとの違いとしてlog収録したというのがあります。
撮影部が私の「ピッカピカの画にしたい」という要求を考えた結果こうなったもので
なにが良いかといえばrawみたいにバカでかいファイルサイズにはならないけど
ダイナミックレンジが稼げて後処理で大きく色味を変えても破綻しずらいよというのが
logのいいところではあります。

ただもちろんいいことばかりではなく
収録時めっちゃ眠たい感じの画になって仕上がり想像し辛いとか
撮る方は撮るほうでこの画のせいで本当に露出が合ってるのかとか
感覚で判断せざるを得ないので技術に自信がなくて撮影チームがチームとして機能していないような場合は
素直に仕上がりの分かりやすいノーマルのピクチャスタイルにしといた方がいいですとだけは言っておきます。
あと、カラーグレーディングが必須なのでカラコレの知識とソフトも必須。

話それましたがそんなわけで編集後に撮影部にグレーディングを引き渡し
戻ってきたカットにこちらでもさらに編集と色味の調整を加え
今度は合成とCGに出しました。

audio.jpg

今回の製作物を見てもほぼほぼどこに合成やCGをつかっているのか不明ではないかと思いますが
雨設定なのにどピーカンの晴れがガラスに写っていたのを消したり、壁からポスターを消したり
空模様をハメ変えしたりと結構な所につかっています。
合成とCGについては佐藤さんが本職だったのでお願いしました。
これだけやっても自然な仕上がりにできるというグレーディングもそうですが
後処理の部分にかかる重要性というのが年々増していってるのを感じる良い経験にもなったものです。

並行して整音用のオフラインファイルつくって引き渡し。
整音作業があらかた済んだら2日ほどかけて全編立ち合いして最終的な音を決め
上がってきた合成カットと共に撮影部に戻して全体的な色味を調整。
さらに私の方で全体の色を微調整とCG合成の再チェックをして完了したのは
8月末のことでした。
製作開始から約3年、クランクインから2年半。
長い長いプロジェクトでした。。

冒頭にも書きましたが明日タイトル通り11月19日に山形で
http://tetsuya1974.blog129.fc2.com/blog-entry-933.html
12月17日に東京で
https://www.facebook.com/events/379137362516999/
上映予定しています。

有料で申し訳ないのですが足を運んでいただけると嬉しいです。
今日はこんなところで。 

ベタだけどそれがイイ!『きみの声をとどけたい』

■個人的評価 73/100

きみの声をとどけたい
あらすじ
海辺の町・日ノ坂町で暮らす16歳の少女なぎさは、将来の夢を見つけることができず焦りを感じている。
彼女は幼い頃に祖母から聞いた「言葉には魂が宿っている」という言霊の話を信じていた。
ある日、何年も使用されていないミニFMステーションに迷い込んだなぎさは、出来心からDJの真似事をする。
偶然にも放送された彼女の言葉は、思いがけない人物に届いていた。


なぎさ(CV片平美那)を中心にした女子高生たちが主人公の群像劇で
恋愛要素皆無、今日び珍しいくらいの青春ど真中な清々しいまでの
文科省推薦的教育映画でした。

本作のメッセージはやりすぎなくらいにシンプルでストレートです。
「言葉には魂が宿っている。発した言葉はきっと誰かに届く」
最初は何気なく入り込んだ閉鎖した喫茶店からのミニFMにのせて思わぬ人に声が届き
最後は歌に乗せて声を届けるという
滅茶苦茶ベタですがベタで正攻法な話だからこそ綺麗に纏めるのは難しい。
アニメプロデューサーでもある石川学氏が書いた脚本は起承転結が明確で
構成のお手本のような作りです。

ただ、正直個人的にはこういう話は実写で観たかったかなと。
日本の実写界では難しいファンタジー要素とかSF要素ないですし
カメラワークの点でいってもアニメならではの空間の制限のなさをあまり感じなかったからです。

クライマックスの歌唱シーンでアニメ3DCG特有の寄っていく動きがありましたが
それ以外についてる動きがほぼ実写でいうところのパンニング/ドリー/クレーンの動きと同じでした。
実写を意識した演出を心がけたんだと思いますし
私個人は実写を意識した演出のアニメ結構好きなんですけどね。

とか言っておきながらキャラクター面で実写に実際落とし込むのに難しいと思う要素もありました。
それが、なぎさの常軌を逸したイイ子ちゃんぶりであれは生身の人間が演じたら
サイコパスがキ○ガイにしかみえないかも。
彼女はあくまでもみんなに言葉の持ってる力を実感してもらうための
善意を体現した存在みたいなものなので無かったら成立しないし。

あと、全体的に感情表現が過剰に感じられる部分が多くノイズに感じました。
私以前から書いてますが芝居がかった芝居が非常に苦手でして
アニメと時代劇についてはある程度許容されるとも思ってるんですが
それにしてもちょっと登場人物が泣くシーンが多すぎるように感じました。
昔ならっていた脚本家の先生が「観客を泣かせるためにむやみに登場人物を泣かせるな」
みたいなことを言っていたのを思い出しましたね。

というわけで、素晴らしい!完璧!
とまではいいませんが誰でも安心して見られる作りになっている
中々の良作だとは思いますので大変お勧めです。
この出来なのに興行的に苦戦しているのが大変おしいのでぜひ。 

岩井俊二が偉大すぎた。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

■個人的評価 60/100

あらすじ
とある海辺の町の夏休み。
中学生たちは花火大会を前に「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」という話題で盛り上がっていた。
そんな中、クラスのアイドル的存在のなずなが、母親の再婚のため転校することになった。
なずなに思いを寄せる典道は、転校をしたくないなずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする。

2017打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?


私が初めて観た岩井監督の映画は『Love Letter』でした。
それから夢中になり『四月物語』を観て「この人なんかおかしいんじゃないか?」と感じ
『リリイ・シュシュのすべて』を観て「この人やっぱおかしいは」と感じ
『花とアリス』を観て「この人ロリコン?」と感じ
本作の原作である『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観て
「あ、この人完全にロリコンだわ」と納得したものです。

もともと『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1993年に放送されていた『if もしも』
というオムニバスドラマの1編として放送されたものをキネコして1995年に劇場公開したものでした。

この時代1995年には3CCDを搭載した高画質DVカム、VX1000が登場した頃で
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も業務用DVカムの、のっぺりした画面に
色調補正を加えてフィルムライクな画面にしたものをキネコしてフィルム上映しているので
現在へと続くデジタルシネマの先駆け的作品と言えるかもしれません。

VX1000の登場は相当に衝撃的だったらしく、私が映像を学び出した2010年ごろ
まだその後継のVX2000を使っている人もいたくらいでした。
その当時でもかなり時代遅れでしたけど。
またVXシリーズの後にパナソニックが出したDVX100シリーズは
DVカムなのにフィルムと同じ24フレームでプログレッシブ収録ができるという優れ物で
2000年代前半のDVDスルーみたいな低予算映画に良く使われていたようでした。

などと内容とあまり関係ないことは置いておいて
本作観終わったあとに浮かんできた感想はただ一つ
「岩井俊二版のオリジナルって本当に完成度高かったんだなあ」
ということでした。

本作はキャラ設定をオリジナルからかなり改変しているのですが
最も大きい部分は主要人物が皆、小学生から中学生になっているということではないかと思います。
個人的にはこの設定の改変があまり上手くいってない気がするんですよ。
主に2つの理由で。

物語の転換になるきっかけは「打ち上げ花火を横からみたら平べったく見えるのか?」
という少年たちの素朴な疑問にあります。
いくらなんでも中学生にもなったら花火を上からみたら平べったく見えるんじゃないか
なんていう馬鹿げた疑問は持たないんじゃないですかね?
だって花火の火花は放射線状に広がるんですよ?

もう1つがオリジナルにあった岩井監督の変態的なフェティシズムが改変によって薄れている
という点です。
広瀬すずさんが声をあてているなずなですが、
オリジナルでは当時13歳だか14歳だったかくらいの奥菜恵さんが演じていました。
社会的に十分子供の年齢ですが外見は大人と子供の間にあるような
絶妙な造形の被写体のうなじやふくらはぎを執拗に狙う変態的なフェティシズムに
オリジナルは溢れており、さらに小学生という設定年齢が危うさを倍増させていました。
本作ではアニメのキャラになって肉感がなくなった上に年齢も上がって
オリジナルの持っていた最大の危うい魅力が限りなく薄れてしまったように感じました。

あと、脚色にあたって終盤の展開が大きく変わっていますが
私としては何がしたかったのかちょっとよくわからなかったです。

とか悪口ばかり言ってしまっているようですが
少なくても観ていて苦痛とかはなかったですし、序盤から中盤にかけては
空気感を今の時代に再現できていたように感じましたので特に悪感情とかはありません。

それより、ほとんど何も共通点のない『君の名は。』と無理やりリンクさせるような
宣伝の方法は、そういうの期待して観に行ったお客さんもがっかりするし
そういう方が増えると作品の評判も落ちてしまい誰も得しないのでやめていただきたかったです。
 

日本のTVドラマはなぜ安っぽく見えてしまうのか?


一昨日のことですがデーブ・スペクターさんが以下のような発言をし物議を醸しています。



デーブ・スペクターさんは過去にもTV番組で以下のような発言をしていますので
日本のTVドラマのクオリティについては一家言あるようです。

ドラマ低迷、デーブが直言 「日本の俳優演技ヘタ、自覚がない!」
http://www.j-cast.com/2009/07/09045046.html?p=all

日本のドラマのクオリティをどうとらえるかは人それぞれだと思いますが
番組のクオリティに手厳しい意見を持っている方は多いようで
"日本 テレビドラマ つまらない"で検索すると
似たようなテーマのスレッドやブログ記事が大量にヒットします。

内容を見ると総じて「演技が下手」「安っぽく見える」
という意見が多いようです。
というわけで今日は何で日本のTVドラマが安っぽく見えてしまうのか
映像面とそれ以外の面から私見を書いてみます。
 
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実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』と原作の相違点。


■個人的評価 68/100
ゴースト・イン・ザ・シェル
原作から哲学的要素を消し去った分かり易いSFアクション映画。

■あらすじ

世界でただ一人、脳以外は全身義体の世界最強の少佐(スカーレット・ヨハンソン)率いるエリート捜査組織公安9課は、
ハンカ・ロボティックスの推し進めるサイバー・テクノロジーを狙うサイバーテロ組織と対峙。
しかし、捜査を進めるうちに事件は少佐の脳に僅かに残された過去の記憶へと繋がり、
彼女の隠された過去を呼び覚ますのだった。
「私は誰だったのか……」やがて、彼女の存在をも揺るがす衝撃の展開へと発展していく……。

※タイトルを読めば予想つくかと思いますが本作及びオリジナル作品と
攻殻機動隊シリーズのネタばれがあるのでご注意ください。

 
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極私的 2016年公開映画ワースト10

昨日予告した通り今日はワースト10です。

 
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2016年公開映画 私的ベスト20

大変お久しぶりです。

もといあけましておめでとうございます。
もう2月ですがとりあえずこれはやっておかないとということで
すごい今更ですがベストワーストの記事を書きます。
 
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君の名は。—感想・レビュー

■個人的評価 92(50)/100
君の名は。1
凄い!そしてキモい!!

自主制作アニメ界の大物として知ってる人はすごく知ってる。
知らない人は全く知らない新海誠監督の最新作です。

劇場は大変な入りでして平日の夜だというのに客席はほぼ埋まっていました。

そもそもこの人の映画はガラガラのくらーいミニシアター私みたいなオタクたちが
気配を殺し合って観るもの
だと思っていたのでこれには驚きました。

いやー変われば変わるものなんですねー。

今回は少しネタバレありで書くのでご注意を。
 
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青空エール—感想・レビュー

■個人的評価 10/100
青空エール1
登場人物のことを誰一人として好きになれない。


恥ずかしい…。何もかもが恥ずかしい…。
恥ずかしくて画面から目を背けそうになった回数数えきれず。
苦痛からの解放までに時計を見た回数数えきれず。

三木監督の前作『くちびるに歌を』が最高だったので
青春映画+音楽で外れなしと期待したのが大きな間違いでした。
人気コミックの映像化ということですが原作は全く読んだ事がありません。
ですのでこれから書くことは原作との比較ではなく完全に1本の映画としてみた感想です。
あと点数からお察しの通り、良い事は全くと言っていいほど書いてないので
好きな方はブラウザを閉じるなり、訳の分らんブロガーの戯言と笑い飛ばすなりしてください。
いつもはネタばれ無しで書いてますが
ディテールを書かないとただの言いっぱなしの悪口になってしまうので
今回はネタばれありで書きます。 
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夏真っ盛り国産オカルトホラー映画の系譜

久しぶりに連投します。管理人です。

夏です。本当に暑い日が続いてますね。
夏と言えば怖い話ということで今日はホラー映画についてです。
そのなかでもとりわけ90年代から2000年代に隆盛を誇った
日本独自のスタイルのホラー映画(いわゆるJホラー)、特に国産オカルトホラーに絞った記事になります。
稲川淳二
 
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シン・ゴジラ—感想・レビュー

■個人的評価 100/100
日本映画はまだ死なず!
シン・ゴジラ1
 
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「今」を描いた社会派ラブストーリー『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』


いつ恋

また久しぶりの投稿になります。
管理人です。

先月ようやく2年に渡る長丁場の撮影が終わりまして
平穏な日々が戻ってきました。
この2年間の個人的な激闘についてはそのうちレポートを書きます。
誰も求めてないだろうけど。

今日は映画ではなくテレビドラマの話です。

日本のテレビドラマは総じて以下のような特徴を持っているように思います。

舞台調の大げさな演技、大げさな台詞まわし
コマ落としやスローモーションを多用した過剰気味な演出。
キャスティングから透けて見える芸能事務所の見えざる力。

技術的な面においても常に深すぎる被写界深度や
フラットに回りすぎな光、ゆるい構図が特徴的です。

だから私はあんまり日本のテレビドラマが好きではないのですが…。
これは個人の好みの問題ですが。

2010年代に入ってから私が毎週かかさず見ていたTVドラマは
『流れ星』(2010年)
『それでも、生きてゆく』(2011年)
『リーガル・ハイ』(2012年)
『ゴーイング マイ ホーム』(2012年)
『Woman』(2013年)
『まほろ駅前番外地』(2013年)
『みんな!エスパーだよ!』(2013年)
『孤独のグルメ』(2012年〜2015年)

だけでした。

ここ2年孤独のグルメ以外全くTVドラマを見ていなかった
ことになります。

コメディで舞台調な演出が施されていた『リーガル・ハイ』
を除いてどれも深度は深すぎず光が不自然に回りすぎていないのが
ルックとしての特徴でした。

とくに本職の映画監督が演出を手掛けていた『ゴーイング マイ ホーム』と
『まほろ駅前番外地』『みんな!エスパーだよ!』は完全に作りが映画で
毎回賞味45分弱の中編映画を見ているような満足感がありました。

前置きが長くなりましたが今放送中の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』
の何が素晴らしいのかルックと演技・脚本にわけて書いていきます。

■ルック・演出

そんなに長く書くこともないのですが
このドラマでは深度が常に深くなく、また不自然に光も回っていません。
カット割りの面でも例えばTBSのディレクターさんだったら
細かく割って間に手持ちショットとかを挟んできそうな場面でも
フィックスの安定したショットを基本線にして
引きすぎず寄りすぎず、カット割りでドラマチックにするのではなく
台詞と場面そのものの持っているドラマ性を大事にして長めのカットで
繋いで見せるという風に感じられます。

主な演出を並木道子さんと石井祐介さんというフジテレビの名人2人が
手掛けていますが、無理に押さないでもドラマ性は作れるという大事なことを
このドラマを通じて教えてくれます。

■演技・脚本

脚本を手掛けている坂元裕二先生は2000年代以降
『わたしたちの教科書』『Mother』『それでも、生きてゆく』
と社会派の意欲作を手掛けてきた作家さんですが
今回はフジテレビの月曜9時枠としては異色な社会派ラブストーリーになっています。

毎回驚かされるのは鮮やかなせりふ回しの数々で
「普通のおじさんと5000円でカラオケいくのは危ないけど、社長と10万貰ってカラオケいくのは安全なの」
「用なんてないからこそ会いに来たんだよ」
(すいませんどってもうろ覚えです)
といったセンス溢れる台詞の数々と完全に私好みなsubtleでcalmな抑えた芝居が最高です。

主人公は最底辺の労働者に最悪な労働を紹介して仲介料をピンはね
ヒロインは劣悪な労働環境の介護施設で派遣社員として働きながら搾取され
「いやー日本は本当に美しい国だなあ(白目)」
という感想しかでてこないほの暗さも好みのど真中です。

ちょっと前半はかったるい部分も多かったですが(それも味だけど)
物語は後半から俄然面白くなってきました。
悲しい事に視聴率がかなり苦戦しているようなのですが
巻き返してもっとこういう作品が多く作られるようになって欲しい!

今日で最終回なんで休みで暇な方は是非ともどこかでダイジェストでも見ておさらいしつつ
21時からの放送をごらんください。

といった感じで今日は終わりにします。 
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