ベタだけどそれがイイ!『きみの声をとどけたい』

■個人的評価 73/100

きみの声をとどけたい
あらすじ
海辺の町・日ノ坂町で暮らす16歳の少女なぎさは、将来の夢を見つけることができず焦りを感じている。
彼女は幼い頃に祖母から聞いた「言葉には魂が宿っている」という言霊の話を信じていた。
ある日、何年も使用されていないミニFMステーションに迷い込んだなぎさは、出来心からDJの真似事をする。
偶然にも放送された彼女の言葉は、思いがけない人物に届いていた。


なぎさ(CV片平美那)を中心にした女子高生たちが主人公の群像劇で
恋愛要素皆無、今日び珍しいくらいの青春ど真中な清々しいまでの
文科省推薦的教育映画でした。

本作のメッセージはやりすぎなくらいにシンプルでストレートです。
「言葉には魂が宿っている。発した言葉はきっと誰かに届く」
最初は何気なく入り込んだ閉鎖した喫茶店からのミニFMにのせて思わぬ人に声が届き
最後は歌に乗せて声を届けるという
滅茶苦茶ベタですがベタで正攻法な話だからこそ綺麗に纏めるのは難しい。
アニメプロデューサーでもある石川学氏が書いた脚本は起承転結が明確で
構成のお手本のような作りです。

ただ、正直個人的にはこういう話は実写で観たかったかなと。
日本の実写界では難しいファンタジー要素とかSF要素ないですし
カメラワークの点でいってもアニメならではの空間の制限のなさをあまり感じなかったからです。

クライマックスの歌唱シーンでアニメ3DCG特有の寄っていく動きがありましたが
それ以外についてる動きがほぼ実写でいうところのパンニング/ドリー/クレーンの動きと同じでした。
実写を意識した演出を心がけたんだと思いますし
私個人は実写を意識した演出のアニメ結構好きなんですけどね。

とか言っておきながらキャラクター面で実写に実際落とし込むのに難しいと思う要素もありました。
それが、なぎさの常軌を逸したイイ子ちゃんぶりであれは生身の人間が演じたら
サイコパスがキ○ガイにしかみえないかも。
彼女はあくまでもみんなに言葉の持ってる力を実感してもらうための
善意を体現した存在みたいなものなので無かったら成立しないし。

あと、全体的に感情表現が過剰に感じられる部分が多くノイズに感じました。
私以前から書いてますが芝居がかった芝居が非常に苦手でして
アニメと時代劇についてはある程度許容されるとも思ってるんですが
それにしてもちょっと登場人物が泣くシーンが多すぎるように感じました。
昔ならっていた脚本家の先生が「観客を泣かせるためにむやみに登場人物を泣かせるな」
みたいなことを言っていたのを思い出しましたね。

というわけで、素晴らしい!完璧!
とまではいいませんが誰でも安心して見られる作りになっている
中々の良作だとは思いますので大変お勧めです。
この出来なのに興行的に苦戦しているのが大変おしいのでぜひ。 

岩井俊二が偉大すぎた。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

■個人的評価 60/100

あらすじ
とある海辺の町の夏休み。
中学生たちは花火大会を前に「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」という話題で盛り上がっていた。
そんな中、クラスのアイドル的存在のなずなが、母親の再婚のため転校することになった。
なずなに思いを寄せる典道は、転校をしたくないなずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする。

2017打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?


私が初めて観た岩井監督の映画は『Love Letter』でした。
それから夢中になり『四月物語』を観て「この人なんかおかしいんじゃないか?」と感じ
『リリイ・シュシュのすべて』を観て「この人やっぱおかしいは」と感じ
『花とアリス』を観て「この人ロリコン?」と感じ
本作の原作である『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観て
「あ、この人完全にロリコンだわ」と納得したものです。

もともと『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1993年に放送されていた『if もしも』
というオムニバスドラマの1編として放送されたものをキネコして1995年に劇場公開したものでした。

この時代1995年には3CCDを搭載した高画質DVカム、VX1000が登場した頃で
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も業務用DVカムの、のっぺりした画面に
色調補正を加えてフィルムライクな画面にしたものをキネコしてフィルム上映しているので
現在へと続くデジタルシネマの先駆け的作品と言えるかもしれません。

VX1000の登場は相当に衝撃的だったらしく、私が映像を学び出した2010年ごろ
まだその後継のVX2000を使っている人もいたくらいでした。
その当時でもかなり時代遅れでしたけど。
またVXシリーズの後にパナソニックが出したDVX100シリーズは
DVカムなのにフィルムと同じ24フレームでプログレッシブ収録ができるという優れ物で
2000年代前半のDVDスルーみたいな低予算映画に良く使われていたようでした。

などと内容とあまり関係ないことは置いておいて
本作観終わったあとに浮かんできた感想はただ一つ
「岩井俊二版のオリジナルって本当に完成度高かったんだなあ」
ということでした。

本作はキャラ設定をオリジナルからかなり改変しているのですが
最も大きい部分は主要人物が皆、小学生から中学生になっているということではないかと思います。
個人的にはこの設定の改変があまり上手くいってない気がするんですよ。
主に2つの理由で。

物語の転換になるきっかけは「打ち上げ花火を横からみたら平べったく見えるのか?」
という少年たちの素朴な疑問にあります。
いくらなんでも中学生にもなったら花火を上からみたら平べったく見えるんじゃないか
なんていう馬鹿げた疑問は持たないんじゃないですかね?
だって花火の火花は放射線状に広がるんですよ?

もう1つがオリジナルにあった岩井監督の変態的なフェティシズムが改変によって薄れている
という点です。
広瀬すずさんが声をあてているなずなですが、
オリジナルでは当時13歳だか14歳だったかくらいの奥菜恵さんが演じていました。
社会的に十分子供の年齢ですが外見は大人と子供の間にあるような
絶妙な造形の被写体のうなじやふくらはぎを執拗に狙う変態的なフェティシズムに
オリジナルは溢れており、さらに小学生という設定年齢が危うさを倍増させていました。
本作ではアニメのキャラになって肉感がなくなった上に年齢も上がって
オリジナルの持っていた最大の危うい魅力が限りなく薄れてしまったように感じました。

あと、脚色にあたって終盤の展開が大きく変わっていますが
私としては何がしたかったのかちょっとよくわからなかったです。

とか悪口ばかり言ってしまっているようですが
少なくても観ていて苦痛とかはなかったですし、序盤から中盤にかけては
空気感を今の時代に再現できていたように感じましたので特に悪感情とかはありません。

それより、ほとんど何も共通点のない『君の名は。』と無理やりリンクさせるような
宣伝の方法は、そういうの期待して観に行ったお客さんもがっかりするし
そういう方が増えると作品の評判も落ちてしまい誰も得しないのでやめていただきたかったです。
 

実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』と原作の相違点。


■個人的評価 68/100
ゴースト・イン・ザ・シェル
原作から哲学的要素を消し去った分かり易いSFアクション映画。

■あらすじ

世界でただ一人、脳以外は全身義体の世界最強の少佐(スカーレット・ヨハンソン)率いるエリート捜査組織公安9課は、
ハンカ・ロボティックスの推し進めるサイバー・テクノロジーを狙うサイバーテロ組織と対峙。
しかし、捜査を進めるうちに事件は少佐の脳に僅かに残された過去の記憶へと繋がり、
彼女の隠された過去を呼び覚ますのだった。
「私は誰だったのか……」やがて、彼女の存在をも揺るがす衝撃の展開へと発展していく……。

※タイトルを読めば予想つくかと思いますが本作及びオリジナル作品と
攻殻機動隊シリーズのネタばれがあるのでご注意ください。

 
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君の名は。—感想・レビュー

■個人的評価 92(50)/100
君の名は。1
凄い!そしてキモい!!

自主制作アニメ界の大物として知ってる人はすごく知ってる。
知らない人は全く知らない新海誠監督の最新作です。

劇場は大変な入りでして平日の夜だというのに客席はほぼ埋まっていました。

そもそもこの人の映画はガラガラのくらーいミニシアター私みたいなオタクたちが
気配を殺し合って観るもの
だと思っていたのでこれには驚きました。

いやー変われば変わるものなんですねー。

今回は少しネタバレありで書くのでご注意を。
 
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青空エール—感想・レビュー

■個人的評価 10/100
青空エール1
登場人物のことを誰一人として好きになれない。


恥ずかしい…。何もかもが恥ずかしい…。
恥ずかしくて画面から目を背けそうになった回数数えきれず。
苦痛からの解放までに時計を見た回数数えきれず。

三木監督の前作『くちびるに歌を』が最高だったので
青春映画+音楽で外れなしと期待したのが大きな間違いでした。
人気コミックの映像化ということですが原作は全く読んだ事がありません。
ですのでこれから書くことは原作との比較ではなく完全に1本の映画としてみた感想です。
あと点数からお察しの通り、良い事は全くと言っていいほど書いてないので
好きな方はブラウザを閉じるなり、訳の分らんブロガーの戯言と笑い飛ばすなりしてください。
いつもはネタばれ無しで書いてますが
ディテールを書かないとただの言いっぱなしの悪口になってしまうので
今回はネタばれありで書きます。 
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シン・ゴジラ—感想・レビュー

■個人的評価 100/100
日本映画はまだ死なず!
シン・ゴジラ1
 
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海街diary—感想・レビュー

■個人的評価 90/100
この4人をいつまでも見ていたい。


海街diary1

■あらすじ

鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。
葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。
父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、
そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。
その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。



また随分と更新間隔が空いてしまいました。
私は毎年劇場で50本〜60本くらい観賞するのですが
今年はまだ3本して観てませんでした。
そして実写はこれが今年最初です。

もっといっぱい観に行きたいのは山々なのですが
いかんせん今回の企画の制作にあまりにも金がかかるのと
制作規模が大きくなりすぎて心身ともに厳しいものがありまして…。

と、どうでもいい私の個人的事情は置いておいて
点数を見ても分かる通り個人的に大好きな作品です。

ですが、本当にストイックな是枝監督作も変わったなあとしみじみ思いました。 
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アップルシード アルファ—感想・レビュー

■個人的評価 52/100
日本の3Dアニメの限界を露呈。


アップルシード アルファ1

■あらすじ
第5次非核大戦が終結し、廃墟となったニューヨーク。
元SWAT隊員のデュナンと、その恋人で全身サイボーグのブリアレイオスは、
不本意ながらもギャングから依頼された仕事をこなし、日々の糧を得ていた。
そんなある日、2人は自動兵器に襲われていた
アイリスとオルソンという男女を助けるが……。
 
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劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス—感想・レビュー

■個人的評価 73/100
TVでやって欲しかったなあ…

劇場版 PSYCHO-PASS1

■あらすじ
西暦2116年、「シビュラシステム」を輸出し、世界に広げようと計画する日本政府は、
内戦状態のSEAUn(シーアン=東南アジア連合)の首都シャンバラフロートにシステムを実験的に導入。
しかし、SEAUnからテロリストが日本に密入国し、シビュラシステムの中枢に攻撃をしかけてくる。
公安局刑事課一係の常守朱は密入国者たちと対峙するが、
やがて彼らを裏で手引きしている人物の存在が浮上する。
その人物は、公安局刑事課一係の執行官だった男で、常守朱のかつての仲間だった。

今更ながら明けましておめでとうございます。

また随分更新間隔が空いてしまいましたが
2015年の1本目はこれです。
 
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『インターステラー』IMAXデジタルの功罪とウラシマ効果

■個人的評価 75/100
長い、クドい。


インターステラー1


ノーラン監督の最新作『インターステラー』を見てきました。
家族愛というミクロな話を宇宙規模に広げるという強引さといい
クドイくらいに繰り返される哲学的なメッセージといい
やたらと長い上映時間といい、良い意味でも悪い意味でも実に"らしい"作品でした。

内容、云々よりも個人的には周辺知識の方がいろいろ
気になることがあり、映画の感想ではなくそのあたりのことを書いていきます。

キーワードは「IMAX」と「ウラシマ効果」です。 
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『たまこラブストーリー』—感想・レビュー

■個人的評価 90/100
萌えアニメの皮を被った良質なラブストーリー

たまこラブストーリー1

■あらすじ
高校3年生に進級しても、お餅のことばかり考えている北白川たまこ。
仲良しのみどりや仲間たちに進路を聞かれても、何気なく将来は家業の餅屋を継ぐと答える。
同じ頃、たまこの向かいの家に住む幼なじみで、ずっと彼女を思い続けてきた大路もち蔵は、
ある決意を固めていた。
周囲が少しずつ変わり始めたことで、たまこの心も揺れ始めて……。 
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『渇き。』—感想・レビュー

■個人的評価 55/100
コレじゃない感が半端ない。


渇き。1

■あらすじ
品行方正だった娘・加奈子が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、
その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和。
自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、
そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと
躍起になって娘の足取りを調べていく。
交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、
加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。
やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。 
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『WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜』と仕事の裏側が学べる映画 —感想・レビュー

■個人的評価 77/100
誰でも安心して楽しめる良作コメディ

WOOD JOB!

■あらすじ
大学受験に失敗し、彼女にもフラれて高校を卒業した平野勇気は、
林業研修プログラムのパンフレットが目に留まる。
その表紙でほほ笑む美女につられ、
ケータイの電波も届かない田舎の神去村で林業の研修に参加することになった勇気だが、
想像を絶する現場の過酷さに、早くも逃げ出したくなる。
しかし、パンフレットの美女が村に住んでいることを知り、
そのまま田舎暮らしと林業を続けていくことを決意するが…。 
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『青天の霹靂』—感想・レビュー

■個人的評価 60/100
ベタだけど基本に忠実に作られた佳作

晴天の霹靂1


■あらすじ
39歳の売れないマジシャンの晴夫は、母に捨てられ、父とは絶縁状態。
ある日、父の訃報を聞いて絶望した晴夫は、気がつくと40年前の浅草にタイムスリップしていた。
そこで若き日の父・正太郎と母・悦子と出会い、
スプーン曲げのマジックで人気マジシャンになった晴夫は、父とコンビを組むことに。
やがて母の妊娠が発覚し、10カ月後に生まれてくるはずの自分を待つ晴夫は、
自身の出生の秘密と向き合うこととなる。 
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『銀の匙 Silver Spoon』ー感想・レビュー

■個人的評価 90/100
こうしてへなちょこ少年は大人になる。

銀の匙1


■あらすじ
進学校に通いながらも挫折し、逃げるように大蝦夷農業高校に入学した八軒勇吾は、
将来の目標や夢を抱く同級生たちに劣等感を抱き、酪農実習や部活には四苦八苦。
慣れない農業高校の生活の中で悩み、戸惑いながらも、
次第に自分なりの答えを見つけ始める八軒だったが……。 
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