『あなたへ』—感想・レビュー

■個人的評価 60/100点
フルボディな日本映画らしい日本映画
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■あらすじ
北陸のある刑務所の指導技官・倉島英二(高倉健)のもとに、
ある日、亡き妻・洋子が遺した絵手紙が届く。
そこには“故郷の海を訪れ、散骨して欲しい”との想いが記されていた。
妻の故郷を目指すなかで出会う多くの人々。
彼らと心を通わせ、彼らの家族や夫婦の悩みや思いに触れていくうちに蘇る
洋子との心温かくも何気ない日常の記憶の数々。
様々な想いを胸に目的の地に辿り着いた英二は、遺言に従い散骨する。
そのとき、彼に届いた妻の本当の想いとは……。 
■俳優・高倉健、映画監督・降旗康男
本作は健さんにとって『単騎、千里を走る。』

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高倉健、リー・ジャーミン 他

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以来7年ぶりとなる出演作としてクランクイン前から話題になっていました。

また健さんと降旗康男監督は
『駅 STATION』

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高倉健、倍賞千恵子 他

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『夜叉』

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高倉健、田中裕子 他

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『あ・うん』

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高倉健、富司純子 他

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『鉄道員』

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高倉健、大竹しのぶ 他

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等何本もの映画でタッグを組み撮影の木村大作も加わって数多くの秀作を
送り出してきました。

今回の撮影は木村大作ではありませんでしたが
非常に安定感ある画作りで健在ぶりを非常に嬉しく思いました。

■撮影所あがりだからこその演出
降旗康男監督は今ではすっかり少なくなった東映出身の
現場叩き上げ監督です。

私は降旗監督の演出が大好きで
この監督の生み出すなんとも言い難い色っぽい艶のある
映像に一環して魅了されてきました。

最近は日本アカデミー賞やキネマ旬報で高く評価されるような
手堅い系の大作でもインディー(もしくはCM・PVディレクターなど)出身の監督が大半です。

例えば昨年の『八日目の蝉』
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井上真央、永作博美 他

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の成島出監督も
一昨年の『悪人』
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妻夫木 聡、深津絵里 他

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の李相日監督も
ぴあフィルムフェスティバル受賞監督で
今後もこの傾向は変わらないと思います。
それも撮影所から監督になるというコースが
ほとんど閉ざされてしまったからなのですが。。

話が横道に逸れましたが現場たたき上げの監督と
インディー出身の監督の違いはクレーン(特機全般)
の使い方とクロースアップ、ミドルショット、ヒキ画の配分の仕方に現れると思います。

まずクレーンの使い方は現場たたき上げの方が上手いです。
商用とインディー映画の予算の差はカメラワークのバリエーションに
大きくかかわってきます。
低予算のインディーで多様なカメラワークを求めるのは無理です。
ですので自然と最初から商用作品に関わってきた
たたき上げ職人監督の方がこれは上手くなります。

また画面の配分についてですが
これはどっちが良い悪いではなく
見やすいか見やすくないかになってきます。

本作を見ていてもわかりますが
とにかく画面がすっきりしていて見やすく
ショットの配分の仕方もバランスが良いです。

その一方で例えば前回こちらに書いた
『桐島、部活やめるってよ』(監督はCMディレクター出身の吉田大八)
は極端なまでのクロースアップの多様で少なくとも「見やすく」はしていませんでした。

どっちが良い悪いの話ではなくこういうことだと思いますよ
ということが言いたかっただけなんですが。

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■『鉄道員』以上『夜叉』未満
前置きが長くなってしまいましたが本作は個人的な評価として
「悪くはないけど特に良くもない」というところです。

悪い点は後述するとして良かったところは
主演に高倉健が立っているということです。
今回脇にビートたけしが回っているのですが
この人は存在感がありすぎるせいでいつも他の役者を食ってしまいます。
ですが今回は健さんがいたおかげでちゃんと脇に回れていました。

私はたけしのベストプレイは『夜叉』だと
思っているのですがこれも主演は健さんでしたね。

■脚本が雑
これが根本的かつ非常に大きな問題だと思うのですが
展開がかなり雑だと思いました。

本作はロードムービーでロードムービーであるからには
妻を失った老刑務官が旅の途中で出会った人たちに影響されて、
またこちらからも影響を与えてという描写
が必要不可欠なはずです。

ですが佐藤浩市のエピソード以外がなげっぱなしなまま
終わってしまい肩すかしを食いました。

また、堅物で一生独身だと思われていた倉島が
なぜ奥さんと結婚したのかも描かれず
それ故になぜここまで強い気持ちを持って
富山から長崎まで散骨に行こうとしたのか説得力に欠けていました。

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■最後に
余談ですが私は高倉健さんの大ファンでして
本作をすげえ楽しみにしていました。
ファーストカットで健さんが映った時それだけで軽く泣きそうになったくらいです。

期待値に比べると今イチでしたが
たまにはこんな職人魂のこもった日本映画らしい日本映画も
良いんじゃないでしょうか。

おすすめです!!

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