『劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語』—感想・レビュー

■個人的評価 55/100
正直蛇足じゃないですかね……


■あらすじ
ネタバレになっちゃうので書けません。

madokamagica_large.jpg

※映画のネタバレはしないように書いていますが
TVアニメの結末について触れているのでここから下は
それでも気にしないという方だけご覧下さい。
 
今日は話題作のこちらです。
魔法少女まどかマギカは2011年に毎日放送系の深夜枠で
放送されていたTVアニメです。

本作はFate/ZeroやPSYCHO-PASSなど
陰鬱でバッドエンドな作風を得意とする虚淵玄が書き下ろした
オリジナルアニメで
かわいい顔した魔法少女たちが残酷な運命をたどる
非常に悪趣味な(最大の褒め言葉)展開がアニメファンたちの間で
大きな話題を呼びました。

■大人の事情が見え隠れ
のっけから作品の存在意義自体を否定する言い方になってしまいます。

まどかマギカはTVアニメ版で
ヒロインのまどかが自己犠牲のもとにあらゆる魔法少女を
因果から救うという結末を迎えました。

なのでここで話は奇麗に終わってしまっています。

ネタバレになってしまうので内容は書けないのですが
映画版は完全にTV版の結末を否定した終わり方をします。

それも思いっきり続編に含みを持たせて。

確かにこのシリーズは大ヒット作です。
商業的な意図で続けたくなるというのはよくわかります。
よくわかるのですが話としては納得がいきません。

元々本作はターゲットが極めて明確に見えています。
すでにTVアニメの総集編が映画版として2作上映されました。
もちろんそちらにもヲタの皆さんがお金を落としていきました。

完全新作となった本作はその上で今までの話を完全否定して
さらに無理やり続きを作ろうというせこい意図があまりにも見えすぎて
制作者の姿勢に反感を感じました。

せめてただの後日談的な話に
終始していれば私もここまで反感は感じなかったと思います。

そして少なくとも
上映が終わった後の観客席の反応はあんまり幸せな雰囲気ではなかった
ということを付け加えておきます。

jp-pub-photosub1-mdk_large.jpg

■映画としてこれはいいんだろうか?
これも内容云々ではなく制作としての姿勢の話なのですが
本作はTVアニメ版を見ないと全く意味が分からない作りになっています。

劇場版アニメにおいてその手の作品は珍しくもなんともないのですが
やっぱり1見さんでもわかるように作ってあげるのが本当なんだと思います。

同じオタク向けアニメの映画版でも2010年の
『涼宮ハルヒの消失』は一見さんでもわかるようにつくられてましたし
海外だと『トイ・ストーリー』シリーズはどれを見てもそれ単体で分かるように作られています。

余談になりますが『涼宮ハルヒの消失』がきっかけで
私は深夜アニメにのめりこんでしまい
自主映画製作と深夜アニメが趣味という廃人まっしぐらになってしまいました。

ですが一見さんで本作を見て積極的にTVアニメ版を
見ようと言う人はいなかったのではないでしょうか?

現に私の隣に座っていた
間違えて迷いこんでしまった感あふれる女性は
終始「ポカーン」としていました。

観客に迎合するのが絶対正解とも言えませんが
やっぱり楽しんでもらってなんぼでしょうから。。

jp-pub-photosub4-mdk_large.jpg


■演出について
というふうに内容に全く触れず長々と書きましたが
ちょっとだけ演出の話をします。

本作ではTVアニメ版の新房昭之(総監督としてクレジット)から
宮本幸裕監督に交代しました。

新房監督は未だ職人的制度が残っている日本のアニメ界において
その得意な細かいカット割など強い作家性を持っている方です。

新房監督作。PSPゲーム『Fate/EXTRA CCC』オープニングアニメ


宮本監督と新房監督だと特にアクションシーンの見せ方に
大きな差がありました。

新房監督の細かいカット割は観客が見づらくなるというデメリットも内包していますが
細かいカット割にも明確な意図があり、何が起きているのかは分かるように作られています。

逆に宮本監督はそこまで細かいカット割はしませんが
ヒキ画とヨリ画の配分が極端で、移動ショットが非常に多い事もあって
画面内で何が起こっているのか分かりづらいところがありました。

他の例だと『コードギアス』シリーズもTVアニメと映画版で
監督が交代しましたが、同じような事を感じました。
下記リンク参照。
http://undersiege.blog112.fc2.com/blog-entry-172.html

■最後に
なんだかんだと否定的なことばかり書きましたが
エッジの効いたデザインと日本の2Dアニメの叡智を結集させた
描写力は最高です。
内容を気にしなければアート映像として満足できるとは思います。

ただ、1ファンとしてちょっと残念な作品だったということだけ最後に付け加えておきます。

関連エントリー
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極私的 日本アニメ映画オールタイムベスト50

コメント

とりあえず
アニメ知識のない女性があんなオタ臭い作品に
映画館で「迷い混む」なんてことは
さすがにない
とだけ言わせてください

まあ、私も見終わった後はポカーン状態でしたよ。
そりゃ当然ですよ。
きっちり締められるか不安ですが、続編に期待しています。
2013/ 11/ 04( 月) 19: 16: 51| URL| 猪口婆# -[ 編集 ]
 
この感じだと相当な興行収入を得られそうなので
続編もあるんでしょうね。
どうやって決着をつけるつもりなのかはちょっと興味あります。

> とりあえず
> アニメ知識のない女性があんなオタ臭い作品に
> 映画館で「迷い混む」なんてことは
> さすがにない
> とだけ言わせてください
>
> まあ、私も見終わった後はポカーン状態でしたよ。
> そりゃ当然ですよ。
> きっちり締められるか不安ですが、続編に期待しています。
2013/ 11/ 04( 月) 20: 13: 11| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
僕も蛇足だと感じました。
アニメ本編のほむらの孤独な頑張りとまどかの選択に感動したのに…。
二期か映画かは分かりませんが、続編はありますよね。
ほむらに報われてほしい…。
2013/ 11/ 06( 水) 16: 55: 16| URL| # -[ 編集 ]
 
次はTVアニメで見たいですが
商業的な理由でやっぱり映画になるんじゃないでしょうか。

> 僕も蛇足だと感じました。
> アニメ本編のほむらの孤独な頑張りとまどかの選択に感動したのに…。
> 二期か映画かは分かりませんが、続編はありますよね。
> ほむらに報われてほしい…。
2013/ 11/ 06( 水) 22: 13: 35| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
僕は蛇足だとは思いませんでしたね。ほむらの本質を深くえぐり出した本作は評価90点ぐらいつけてもいいです。-10点したのは初見だと解りにくいかなと思ったんで
2014/ 01/ 18( 土) 03: 56: 28| URL| 無題# -[ 編集 ]
 
そうですね。そう思われたのなら満足されたと思います。
私の書いている事はほんの一面にしか過ぎませんので。
> 僕は蛇足だとは思いませんでしたね。ほむらの本質を深くえぐり出した本作は評価90点ぐらいつけてもいいです。-10点したのは初見だと解りにくいかなと思ったんで
2014/ 01/ 18( 土) 19: 08: 23| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
「叛逆の物語」はなぜダメだったのでしょう? 記事中では製作者や映画媒体はこうだあるべき論しか出てこなく、肝心の本作の内容にまったく触れていないのでとても違和感があります。



2014/ 02/ 16( 日) 14: 51: 51| URL| べるん# qjKXimFw[ 編集 ]
 
個人的にはそれが全てだからです。
私の書いていることも物事のほんの1面でしかないので
好きな方は好きでいいのではないでしょうか?
それを否定しようという気は全くありませんので。
> 「叛逆の物語」はなぜダメだったのでしょう? 記事中では製作者や映画媒体はこうだあるべき論しか出てこなく、肝心の本作の内容にまったく触れていないのでとても違和感があります。
2014/ 02/ 16( 日) 14: 57: 36| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
ようやく同じ意見の方に出逢えました…
叛逆だけではなく、ここ最近のアニメファンの方々はみなさん心が非常に広いのか、だいたいが素晴らしい!の一言だったので自分のマイノリティ感に参っていました💧
言いたいことをしっかり言えるのがとても羨ましいです
2014/ 04/ 05( 土) 00: 07: 57| URL| あじゃぱー# -[ 編集 ]
 
ありがとうございます。
こういった深夜枠アニメは本当に好きな方しか
観に行かないので否定的な意見はまず出ないのではないでしょうか?
でも私の言っている事もあくまで一面にしか過ぎませんので。
> ようやく同じ意見の方に出逢えました…
> 叛逆だけではなく、ここ最近のアニメファンの方々はみなさん心が非常に広いのか、だいたいが素晴らしい!の一言だったので自分のマイノリティ感に参っていました💧
> 言いたいことをしっかり言えるのがとても羨ましいです
2014/ 04/ 05( 土) 17: 12: 27| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
勇気ある感想だと思います。
美樹さやかを理由無く生き返らせてみたり
巴マミをカップルにするためにお菓子の魔女を少女化してみたり(しかも作中で大した役割が無い)
続編作りたいしファンにお金落とさせたいからそういう作り方をした、という迎合型アニメの典型だと思います。
せめて、ほむらが昇天していたらまだお話としては綺麗だったと思います。

テレビ版の綺麗な理屈が、全くご都合主義でひっくり返されて、あきれながら見ていました。

私もテレビ版のファンでした。しかし叛逆はクソ映画だと思います。
2015/ 02/ 23( 月) 23: 42: 46| URL| nFS# iAExy4qY[ 編集 ]
 
あくまで個人的感想ですので…
ただ、あんまり商業的意図が強すぎるので気にはなりました。
> 勇気ある感想だと思います。
> 美樹さやかを理由無く生き返らせてみたり
> 巴マミをカップルにするためにお菓子の魔女を少女化してみたり(しかも作中で大した役割が無い)
> 続編作りたいしファンにお金落とさせたいからそういう作り方をした、という迎合型アニメの典型だと思います。
> せめて、ほむらが昇天していたらまだお話としては綺麗だったと思います。
>
> テレビ版の綺麗な理屈が、全くご都合主義でひっくり返されて、あきれながら見ていました。
>
> 私もテレビ版のファンでした。しかし叛逆はクソ映画だと思います。
2015/ 02/ 25( 水) 23: 22: 33| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
魔女結界より改変後の世界を見たかったと思う今日この頃。でも、叛逆の物語という作品は素晴らしかった。伏線をこれでもかというくらいに仕込んでいて、それを探すのが面白い。

開始数分で「ホムリリィ」の文字があったり、
ほむらの変身シーンで魔女文字が出てきたり、
ほむらがゴンドラに乗る少し前のシーンでパラソルが出てきたり、
ホムリリィになる直前にルミナスが出てきたり、
その直後にほむらがまどかを掴もうとするシーンが変身シーンと酷似してたり、
ホムリリィ行進シーンで骨になったパラソルとトカゲが出てきたり。

悪魔ほむらのイヤーカフスにホムリリィと書かれていたりパラソルに魔女文字が書かれていたりするところを見るに悪魔って魔女(もしくは、その上位種)だよね
再改変後の世界も魔女結界にしか見えないし。
そう考えると、美樹さやかは生き返ったとは限らないと思う。
2015/ 04/ 25( 土) 09: 06: 15| URL| 夢はこの部屋の中に~# -[ 編集 ]
 
TV版では最後に「これは一魔法少女ほむらとQべえの雑談です」といったオチで「神(世界の理)としてのまどか」の存在は「確かめようがない」と濁してある点がよかった。また善/悪も全話を通して、「客観的な善/悪はない」という立場で描かれていて良かった。

逆に『叛逆の~』では神/悪魔、善/悪を明確にシンプルに出し過ぎて、古臭いアニメの構造になってしまっていました。戦隊モノ色が強く演出されていた点にも、それがあらわれていました。TV版の良さが損なわれてしまい、残念です。
2016/ 06/ 29( 水) 09: 18: 54| URL| 通りすがり# pyHE9CZM[ 編集 ]
 
かといって好きな人を否定する気も毛頭ないのですが。
続編作る気満々に見えたけど未だないですね。
> TV版では最後に「これは一魔法少女ほむらとQべえの雑談です」といったオチで「神(世界の理)としてのまどか」の存在は「確かめようがない」と濁してある点がよかった。また善/悪も全話を通して、「客観的な善/悪はない」という立場で描かれていて良かった。
>
> 逆に『叛逆の~』では神/悪魔、善/悪を明確にシンプルに出し過ぎて、古臭いアニメの構造になってしまっていました。戦隊モノ色が強く演出されていた点にも、それがあらわれていました。TV版の良さが損なわれてしまい、残念です。
2016/ 08/ 10( 水) 23: 03: 48| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 
すっごい今更だけど、感想書かせてもらいます。
正直ほぼ同意見です。商業目的が見え隠れしすぎでした。映画館で固まっちゃいましたよw
最後の展開がビックリを狙ったのか、急遽決まったのか分かりませんが強引すぎますよね。
虚淵が監督と話し合って思い付いた的な事言ってたので、恐らく後者だと思いますけどね。続けられるようにして…てな感じに言われたんでしょう。
一応今現在続編を作ってる用ですが、ガルパンとかの成功も含め、完全に時期を逃してます。マジで続編やる気なんでしょうかねぇ…
2016/ 12/ 05( 月) 01: 20: 24| URL| # -[ 編集 ]
 

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