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2014年 第37回 日本アカデミー賞雑感

先日今年の日本アカデミー賞の結果が発表されました。

以前にも書いたのですが
私はこの賞の妥当性にずっと疑問を抱いてきました。

それは私が熱心な映画ウォッチャーになった
10年前からほとんど変わっていません。

今日は今年の日本アカデミー賞についての雑感です。 

■作品賞

作品賞は以下が候補になりました。
『凶悪』
凶悪
『少年H』
少年H2
『そして父になる』
そして父になる
『東京家族』
東京家族3
『舟を編む』
舟を編む
『利休にたずねよ』
利休にたずねよ


『凶悪』が候補になったのは意外でした。
硬派で残酷な内容がやたらと保守的な会員に受け入れられるとは思えなかったからです。
ただ他の映画祭でも高い評価を得ている作品でもあり
これはとても喜ばしいことだと思います。

カンヌでの評価から引っ張られたと思われる
『そして父になる』
アカデミー賞の日本代表として出品された
『舟を編む』
ちょっと微妙な気はしますが大作感があり
しっかりまとまった手堅い作りの
『少年H』
あたりは納得いきます。

ですが説教臭くて主張がうっとおしい
『東京家族』と『利休にたずねよ』
は本当にノミネートされるべきだったのでしょうか?

確かに決して酷い出来ではないのですが
手放しで褒められるような作品でもないはずです。
他にノミネートされるべきだった
邦画が何本かあったのではないでしょうか?

役者から芝居を引き出す高いパフォーマンスを発揮した
『横道世之介』と『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
それに『箱入り息子の恋』あたりはノミネートされるべきだったと思います。

また毎回この賞から完全に無視されている
園子温監督の『地獄でなぜ悪い』は今回も無視されました。

テレビ映画ではありますが
骨太なエンタメ作品の『真夏の方程式』は
話題賞とかいう存在意義が不明な賞でお茶を濁されました。

日本アカデミー賞自体が日本テレビのプロモーションみたいなものだから
しょうがないのかもしれませんが
それならアカデミー賞の名を冠するべきではないと思います。

最優秀賞に選ばれたのは『舟を編む』でした。
確かに『舟を編む』は良作ですがこれが去年の最高の邦画かと問われると
それは微妙です。

作家性もエンタテインメントとしても
中途半端な印象があり
この中ならふさわしかったのは
『凶悪』か『そして父になる』
のどちらかだったのではないでしょうか。

北野武監督が日本アカデミー賞について
「キネマ旬報とか、あんなのどうでもいいだろ。松竹とか東宝とかインチキくさいぜ。
(日本)アカデミー賞だって、あれ全部交代で受賞しているじゃねえか。次は松竹の番だろ?」

http://news.livedoor.com/article/detail/8575614/
と批判していましたがこの発言の通り
松竹の『舟を編む』が受賞しました。

■演技部門

演技部門は『そして父になる』と『舟を編む』が
分け合いました。
唯一『さよなら渓谷』の真木よう子さんが
主演女優賞になっただけです。

このノミネートも変なところが多く
『そして父になる』で真木よう子さんが
助演女優賞も取っていましたが
この映画だったら真木よう子さんよりも
尾野真千子さんに取って欲しかったところです。

リリー・フランキーさんが助演男優賞で
『そして父になる』と『凶悪』の両方でノミネート
されていたのですが『そして父になる』で受賞していました。

たしかに良いパフォーマンスをしてはいましたが
『凶悪』の強烈な存在感には霞んでしまう印象があります。
そんなに『凶悪』に賞をあげたくなかったのでしょうか?
それなら適当にノミネートしてごまかさない方がまだ潔いです。

また演技部門でも『横道世之介』と『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
『箱入り息子の恋』が完全無視でした。

少なくとも『横道世之介』の高良健吾さんと吉高由里子さん
横道世之介
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の麻生久美子さん
ばしゃ馬1
『箱入り息子の恋』の星野源さんと夏帆さん
箱入り息子の恋
ノミネートされてしかるべきだったはずです。

■監督賞

監督賞も『舟を編む』の石井裕也監督でした。
繰り返しになりますが『横道世之介』の沖田 修一監督
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の吉田恵輔監督
それに大作で一級のエンタメ作品に仕上げた
『真夏の方程式』の西谷弘監督はノミネートすらされませんでした。

また作品賞に上がっているのに『少年H』の降旗康男監督は
ノミネートされませんでした。
降旗監督は叩き上げの大ベテラン職人監督ですが
『少年H』でも手堅い仕事ぶりを見せていました。

それなのになぜか映画というより舞台劇に近い
『清須会議』の三谷幸喜監督がノミネート。
その上舞台劇のテイストが強い作風にもかかわらず
演技部門には全くノミネートされず。
何を基準に選んだのでしょうか?

■アニメーション

完全にオタク向けの『劇場版魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』
jp-pub-photosub1-mdk_large.jpg
がノミネートされたのには驚きましたが技術力の高さから言って妥当だとは思います。
同様に『キャプテンハーロック』も妥当さは感じます。
ですがなぜ子供だましの『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』
がノミネートされたのでしょうか?

最優秀作品は宮崎駿監督の引退作『風立ちぬ』
風立ちぬ2
でおそらく同じスタジオジブリの『かぐや姫の物語』
かぐや姫の物語
と争ったものと思います。

ですがそれなら『かぐや姫の物語』が取るべきだったと思います。
面白いかどうかは置いておいて日本が誇る2Dアニメーション技術を
1歩先に進めた意義のある作品だとは思いますので。

ですが個人的にはこれもオタク向けアニメの
『空の境界 未来福音』
未来福音3
はノミネートにふさわしかったと思います。
偏執狂的なこだわりと驚異的な演出技法の千差万別な使い分けは
強烈な印象として残っています。

同じオタク向けアニメのまどマギをノミネートさせたなら
それぐらいの度量は持って欲しかったところです。

あと作家性の強さで言えば新海誠監督の『言の葉の庭』
言の葉の庭
もノミネートされて良かったかもしれません。
『言の葉の庭』はシナリオにかなり難がありますが新海監督作は全部がそうなので
そこは問題にならないはずです。

ただ実写と違って日本の2Dアニメーション映画は
大半が非常に高品質なのでどれが選ばれても
それほど違和感は感じませんでした。

■技術部門

ここは納得できる物が多かったです。

まず撮影賞と照明賞は『許されざる者』でした。
許されざる者1
『許されざる者』は作品自体は微妙な出来ですが
全ての画に圧倒的な格調高さがあり非常に納得がいきます。

カメラマンの笠松則通さんと照明技師の渡邊孝一さんは
作品の画作りについて素晴らしいパフォーマンスを発揮しました。

録音は『舟を編む』の録音技師
加藤大和さんが選ばれましたがこれも納得いきます。
『舟を編む』は静かな作品なので現場録音にはかなり気を使ったはずです。
整音の仕事も良かったのでしょうが、現場録音が悪いとどうしようもないのも
確かですので。

編集賞も『舟を編む』の編集マン
普嶋信一さんが選ばれましたが
これは他にあったんじゃないかと思います。
編集技術で言えば昨年の公開作で最も印象に残ったのは
『かしこい狗は、吠えずに笑う』でした。
かしこい狗は、吠えずに笑う
『かしこい狗は、吠えずに笑う』は自主制作映画なので完全に無視されていましたが
昨年劇場公開された邦画の中では10指に入る秀逸な作品でした。
編集は監督の渡部亮平くんが自分でやっていましたが
巧みなジャンプカット編集が印象的でした。

ノミネート作の中では『そして父になる』が印象に残っています。
是枝裕和監督自身が編集していますが
カットインカットアウトとフェードインフェードアウト以外の
つなぎを一切しない編集に対する潔癖さを感じました。

■まとめ

というわけで今年もなんか納得のいかない選考が多く感じました。
としか言いようがありません。

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コメント

尊敬の念を持ってコメントを読ませていただいています。
作品賞に関して「少年H」は観ていませんが、あの中から賞を取るとしたら、仰る通り「凶悪」であったと思います。「舟を編む」も好きですけど。
また「馬車馬~」と「箱入り~」もご指摘の通りですよね。「横道~」は見逃したのですが、やっぱりいいんですね。
2014/ 03/ 09( 日) 21: 01: 47| URL| マサじい# LU0ICOqE[ 編集 ]
 
私のようなわけのわからん若造に過分なお言葉ありがとうございます。
個人的に「横道世之介」はそんなに好きな映画ではないんですが
出来がいいのは間違いないのでおすすめです。
> 尊敬の念を持ってコメントを読ませていただいています。
> 作品賞に関して「少年H」は観ていませんが、あの中から賞を取るとしたら、仰る通り「凶悪」であったと思います。「舟を編む」も好きですけど。
> また「馬車馬~」と「箱入り~」もご指摘の通りですよね。「横道~」は見逃したのですが、やっぱりいいんですね。
2014/ 03/ 09( 日) 22: 36: 52| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 

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