TVアニメが面白い。日本の映像コンテンツを考えるー『蟲師』と『ジョジョ』ー

ずいぶん更新の間が空いてしまいました。

去る3月21日に昨年撮影した自作の自主上映を実施しました。
幸いなことに3回上映全部がほぼ満員となり
赤字を出さずに済みました。

お越しいただいた皆様には心から感謝申し上げます。

しかしながら今後の展開に全く見通しが立っていないので
イベント上映なんかをさせていただけるという奇特な方がいらしたら
是非ともご連絡ください。



ちなみに「それから、」はこちらで記事にして貰いました。

カゲヒナタのレビュー
http://kagehinata64.blog71.fc2.com/blog-entry-724.html
なんか自分のインタビューが載るってのは変な感じしますが
気が向いたら読んでみてください。

あと、過去作の一部を最近アップしました。


これはただのお遊びですがこんなMADを最近作りました。


などど宣伝をしつつ今日の本題に入ります。

最近、実写よりもアニメをよく見ています。
実は昔からアニメが大好きだったのですが
特にここ数年のアニメ業界の技術の進歩と多様性には目を見張るものがあります。

実写の世界がどれも無難な似通った内容の物ばかりなのに対して
アニメの世界では安い深夜枠の放送権を買ってプロモーションし
ディスクの売り上げでペイするというビジネスモデルが確立しているので
エッジの効いたインパクトのある作品が作られやすいというのが理由かと思います。

萌えキャラがワイワイやっている無個性な作品もかなり多いですが
そうではない物も少なからずあります。

今クールで放送されているアニメの中で私が特に好きなのが
『蟲師 続章』と『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』
です。
 
『蟲師 続章』
蟲師 続章
幽玄で奥ゆかしい神話や昔話を思わせる独特の世界観。

なぜこれが実写で出来ないのか?
もとい、これは本当なら実写でやるべきコンテンツだと私は思います。

アフタヌーンで連載されていた人気コミックが原作で

蟲師 全10巻 完結セット (アフタヌーンKC)蟲師 全10巻 完結セット (アフタヌーンKC)
(2011/02/28)
漆原 友紀

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アニメの第1期が2005年から2006年にかけて放送され
作画の美しさが当時も密かに話題になっていました。

アニメ化にあたって長濱監督は『原作に忠実に』をモットーに
演出したとのことでしたが、その言葉通りコミックのコマ割まで忠実に再現された
本作を「マンガそのまんまじゃねえか」と批判する方もいるかと思います。

ですが、これは簡単なことではありません。

マンガの1コマというのはその一瞬を切り取ったものではなく
何秒かの時間を凝縮したものです。
ですので動画になったとき本当にそれをそのまま
フィックス(固定ショット)でやってしまうと
違和感が出てしまいます。

長濱監督は演出するにあたって
動きのない1カットのなかで積極的にフレームを上下させることで
見やすくなるような工夫をしています。

この動きはアニメにおける独特の演出方で
いつから始まったのかははっきりわかりませんが
恐らくスーファミ時代のサウンドノベルがきっかけではないかと思います。


弟切草弟切草
(1992/03/07)
SUPER FAMICOM

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サウンドノベルの名作、弟切草。
映画化もされましたが出来は…合唱。


この時代のソフトは容量が極めて限られていた上
音楽のファイルサイズが大きいのでグラフィックにあまり容量を割けませんでした。

しかし1枚絵を延々と映し続けていると退屈極まりないため
静止画をズームさせたりパンさせたりすることで動きを付けました。

この手法がアニメにフィードバックされ
また社会現象にもなったエヴァンゲリオンが積極的に使用したことから
爆発的に浸透していきました。

話を戻しますが
それ以外にも風にたなびく衣装や髪のアニメーション
フレアする光の表現
のどかな田園風景や鬱蒼と茂る森の木々など
地味ながら細部にわたって書き込まれた画面の完成度には圧倒されます。

また、アニメというのは演技をかなり誇張させても
違和感なくみられる物ですが
本作の声の演技は非常に抑制されており
蟲師を観た後だと、実写TVドラマのバカみたいに誇張された芝居が
子供だましのように思えてきます。

最初になぜこれが実写で出来ないのかと書きましたが
これが理由です。

抑制された芝居と演出、美しい日本の原風景。
こういったジャンルは昔から日本映画界が得意としてきたもののはずなのですが…。

本作は2007年に実写映画化されていますが
もはや蟲師とは呼べない全くの別物になってしまい
返す返すなぜこうなってしまったのか残念でなりません。

『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』
ジョジョ スターダスト
エメラルドスプラッシュゥゥゥゥウ!!!

『蟲師 続章』と同じくこちらも「原作に忠実に」を合い言葉に演出されていますが
方向性が全く違います。

「ジョジョ」と言えば
何かが鳴動する謎の音「ドドドド」「ゴゴゴゴ」や
「グッパオン」
グッパオン
という常人の脳では想起することが不可能な独特のオノマトペ
人間が一生の内一度も取ることの無い歌舞いたポージング
ズアッ
から超メジャーな作品にも関わらずカルト的な人気も誇る傑作です。

なんとアニメではあろうことか文字情報を文字情報で強引に迎え撃ち
頭の横に虫が飛んでいれば
「頭の横に虫が飛んでいるぞ!」
当て身をするときは
「当て身!!!!」
行動と状況を全てを台詞で強引に表現ッッ!!

映像表現の常識から言ってやってはならない事を
全てやっている
というのに、なぜか納得してしまうのはこれがきっと「ジョジョ」
だからなのでしょう。

この徹底的にデフォルメされた表現で
ストーリーはシリアスなはずなのに見ていると
笑いが止まらなくなってしまいます。

もちろん笑えるだけではなくて
漢のアツい友情とアツいバトルが暑苦しい演技と暑苦しい演出で
繰り広げられる展開は最高にアツいです。
(今何回アツいって言いましたかね)

『蟲師』がアニメでありながら抑えた表現を強く意識した作品なのに対して
『ジョジョ』はアニメならではの誇張した表現を徹底的に追求した作品と言えるかもしれません。

他にも今クールでは
『ピンポン THE ANIMATION』
ピンポン アニメ
『魔法科高校の劣等生』
魔法科高校の劣等生
は毎週見ています。

『ピンポン』は2002年に実写映画化されていて
コミックの実写化としてはこれ以上ないくらいの良作でしたが
アニメも遜色ない出来映えで毎週とても楽しみです。

監督が作家性の強い湯浅監督になったことで
アニメならではのくどいくらいな分割カットが連発されて
実写版よりも芸術的な側面が強い作風になっています。

『魔法科高校の劣等生』は…よくあるラノベラノベした作風ですが
中二心をくすぐる主人公のチートキャラぶりが見ていて楽しいです。

最後に今クールの実写のTVドラマについて
正直どれ一つとして面白いと思える物がないのですが
一つ『MOZU』というドラマが画の作り方については
他のTVドラマと一線を画すしています。

『MOZU』はWOWOWとの共同制作なので
単に金がかかっているというのも理由なのでしょうが
この画作りが一般的となれば日本のTVドラマ界に大きな転換をもたらすかもしれません。

しかしながら芝居が他のTVドラマと同じく
必要以上に誇張されており、画のかっこよさが
台無しになってしまっているように感じられます。

別に芝居っけのないぼそぼそしゃべりをしろとは
言わないのですがもうちょっとなんとかならないのでしょうか。

今日は以上です。

次に撮りたい企画があるんですが金銭が…。
誰か…誰かお金ください!!

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コメント

こんにちは

日が昇る前にの冒頭部分は歩いても、歩いてものオマージュだったのですね!

かっこいいです
2014/ 05/ 27( 火) 20: 12: 59| URL| 蓋# -[ 編集 ]
 
お褒めに預かり恐縮です。

お気づきの通り
オマージュ…というかパロディと言うか…
パクリと言うか…物は言いようですね。

でも「歩いても歩いても」は大好きな映画です。

> こんにちは
>
> 日が昇る前にの冒頭部分は歩いても、歩いてものオマージュだったのですね!
>
> かっこいいです
2014/ 05/ 28( 水) 00: 19: 44| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 

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