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『渇き。』—感想・レビュー

■個人的評価 55/100
コレじゃない感が半端ない。


渇き。1

■あらすじ
品行方正だった娘・加奈子が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、
その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和。
自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、
そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと
躍起になって娘の足取りを調べていく。
交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、
加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。
やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。 

今日は先週封切りになったばかりのこの1本です。

■好きか嫌いかで言ったら嫌い

深町先生のベストセラー小説「果てしなき渇き」を
前作『告白』の成功で今や日本映画界において
三池崇史監督や園子温監督と並ぶ暴力のマエストロに名を連ねた
中島哲也監督が映像化。

センセーショナルで暴力的な作風に
こんな監督の人選と聞いたら期待せざるを得ません。

当然、私もビンビンに期待していましたが
なんかコレじゃない感が半端なかったです。

好きか嫌いかと言われたら嫌いですし
正直もう1回観たいとも思いません。
2時間と普通の尺でしたが上映時間は3時間以上あったように感じました。

ですが、単純につまらなかったかと言われると
真に迫るものはあったし、面白いと思える部分もありました。

コレじゃない感の正体は主に演出にあるのですが
もう1つ、観終わって日本の映像界の今後について非常に思うところが
ありましたのでそれは最後に書きます。

■演出のコレじゃない感

中島監督と言えばCGとフィルタ効果をゴリゴリ使った
頭がクラクラするような映像が特徴です。

そんな極彩色の世界の中で『下妻物語』では青春の疾走感
『嫌われ松子の一生』では客観的には不幸でも当人の脳内ではハッピーという
ドラッギーな感覚
あまり印象に残っていないので『パコと魔法の絵本』は置いておいて
前作『告白』で1つの転換を迎えました。

それまでのドラッギ—な世界は抑え目になり
長回しで延々と追い込んだ芝居を見せる演劇的な手法と
クドいくらい連発される対位法には少々辟易しましたが
残虐な内容とは裏腹に、命の価値を問う
ある種道徳的とも言えなくはない(のか?)ラストは理解できましたし
普通にエンタメ的な要素もありました。

本作は前作の演出を悪い意味でストイックに受け継いで
作られています。

悪意と狂気に満ちたストーリーを
追い込んだ芝居で延々と見せる。

しかもどんだけ芝居見せたいんだよと言うくらいに
人物のクロースアップばかり挟んできます。

人のクロースアップ→人のクロースアップ→人のクロースアップ
→対位法でキャッチーなBGMに何かが壊れるメタファー→
また人のクロースアップ→人のクロースアップ→人のクロースアップ
→ギチギチに物が詰まってサイドが超タイトな引き画
またまた人のクロースアップ→人のクロースアップ→人のクロースアップ……

以前以下の記事に書きましたが、タイトな画を連発させるのは
観る者に圧迫感を与える典型的な演出法です。

映画「ブルー・バレンタイン」とウルトラセブンの関係
http://undersiege.blog112.fc2.com/blog-entry-123.html

なんで意図するところは理解できるんですが、
私が本作でどうしても好きになれないのは
顔のクロースアップが多すぎるところにあります。

上の記事で書いている例はタイトな画面を連発するといっても
「タイトな画面」=誰かの顔のクロースアップ
ではなく、物も人も一緒くたにギチギチに詰めた画面ということです。
ですから、トータルで見たらバランスは取れているわけです。

そんなわけであまりの画変わりの乏しさに
時折挟まれるポップでファンシーな映像の洪水も
追い込まれた俳優の鬼気迫る芝居も正直どうでも良くなり
1時間弱くらいで心底お腹いっぱいになってしまいました。

センセーショナルでキャッチーで暴力的でエロくて…
という時点で観る人を選ぶということは承知の上です。

私はエロもグロも大好きなのですが
本作についてはそれ以外の点が気になって
どうしてもコレじゃない感が拭えませんでした。

中島監督の映像にはどんな形であれ最終的には
「客を楽しませる」という発想があったと思っているのですが
本作からはあまりそれが感じられず正直残念です。

渇き。2

■次代を担う自主制作映画のトレンド

さて、なんでこれが自主製作映画の話につながるんだろう
と思われるでしょう。

理由を説明します。

自主映画のトレンドは2000年代のオフビートな脱力系映画から
2009年に園子温監督が歴史的傑作『愛のむきだし』を発表したあたりで
徐々にアングラ要素かポップな要素、もしくはその両方を含んだものに
シフトしていきます。

私はここ数年、何十本ものインディ系映画祭での入選作を見てきましたが
ほとんどがポップでファンシーなコメディか
アングラで誰かが終始叫んでいる物に大別可能です。

そして残念ながら、コンペの狭き門をくぐり抜けてきたはずの
数多の作品の中で「これは面白い」と思えたのはたったの2本だけでした。

面白いと思えない理由はいろいろあるのですが
大体以下の記事に書いてあるのと
私も同意見なので、リンク先をご参照ください。

自主映画まみれ〜福岡インディペンデント映画祭鑑賞期〜
http://aleck1984.blog44.fc2.com/blog-entry-234.html

ポップでファンシーな奴については置いておいて
アングラ系の誰かが終始叫んでいる作品にはカット割りに
1つの特徴があります。

それは
人、人、人と人物ばかりで
物へのカットアウェイやフレームの中で人物を動かす
といった見易くするための工夫が全く見られないということです。

私は観賞中こう思いました。

「この映画に影響された若い作家がインディの世界で
似たような物ばっかり作り始めたら嫌だな…」

もうすでにそんなのばっかになり始めているので
本気で危機感を感じました。

いや、こういうアングラなやつも良いと思うんですよ。

でも、新しく出てくる人材がそんなのばっかりだったら嫌じゃないですかね?

なんか、日本の映像界のトレンドについて考えてしまいました。

■最後に

ここまで読んだらわかると思いますが
エロとグロに耐性がない人や、話題だしオダギリジョーと妻夫木くんが
好きだから女子同士で見に行こうとか思っている方は
やめてまだまだロングラン中の『アナと雪の女王』観ながら
「let it go」を口ずさむことをお勧めします。

誰かに見なきゃ殺すと脅されている人や
好きな映画は「死霊のはらわた」と「悪魔のいけにえ」
あと「ホステル」「ムカデ人間」
みたいな人は安心して観てください。

末筆になりますがこんな悪意と憎悪の塊みたいな怪作に
学生早割1000円キャンペーンとかで純真なティーンを引きずりこもうとしている
宣伝のやり方に真剣に腹が立ちます。

そもそもなんでR18指定にならなかったのでしょうか?

この映画は良い子と悪い子、それに精神年齢が幼稚な大人は観ちゃだめです!

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コメント

先日観ましたが確かに長かったように思います
いきなり鳴り響く爆音と役所さんの顔しか印象に残っていないです!

小松菜々さんは可愛いかったですね
2014/ 07/ 02( 水) 00: 59: 24| URL| 蓋# -[ 編集 ]
 
ただつまらなかったとも言えないんですけど
やはりコレじゃない感がどうにも…
> 先日観ましたが確かに長かったように思います
> いきなり鳴り響く爆音と役所さんの顔しか印象に残っていないです!
>
> 小松菜々さんは可愛いかったですね
2014/ 07/ 04( 金) 22: 39: 05| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 

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