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『インターステラー』IMAXデジタルの功罪とウラシマ効果

■個人的評価 75/100
長い、クドい。


インターステラー1


ノーラン監督の最新作『インターステラー』を見てきました。
家族愛というミクロな話を宇宙規模に広げるという強引さといい
クドイくらいに繰り返される哲学的なメッセージといい
やたらと長い上映時間といい、良い意味でも悪い意味でも実に"らしい"作品でした。

内容、云々よりも個人的には周辺知識の方がいろいろ
気になることがあり、映画の感想ではなくそのあたりのことを書いていきます。

キーワードは「IMAX」と「ウラシマ効果」です。 

■IMAXデジタルとIMAXは全くの別物

本作ではIMAX70mmフィルムでの撮影が
多くのシーンで実施されたというのを売りのひとつにしています。
日本ではユナイテッドシネマ系列や109シネマズ系列の対応劇場で
IMAX興行が実施されてますね。

IMAXという言葉は近年良く耳にする方も多いかと思いますが
普通のフィルム撮影とIMAXフィルムの違いとは
フィルムのサイズの大きさです。

35mm-vs-IMAX-format-70mm-film-size0.jpg


上の図の通りIMAXフィルムは
商業作品で多く使用されている35mmフィルムに対して
大きな情報量を持っています。
(最も今日びフィルム撮影自体が珍しいのですが)

ということを念頭に置いていただいて話を続けます。

結論から言ってしまうと現在の日本に本当の意味での
IMAX上映ができる商業映画館はありません。
(北九州のスペースワールドや安曇野の穂高アイマックスシアターなど
博物館や科学館にはいくつかあるようです)

本当の意味でのIMAXとは、70mmフィルムで記録された超高解像度の映像を
スクリーンに投影するシステムです。

その描写力を最大限に発揮するには高さ20m、幅28mという巨大なスクリーンが必要になります。

インターステラー2

ところが日本の商業劇場でIMAXと謳っているところは
従来のシネコンを改造して作られているので
この巨大なスクリーンを設置できません。

そもそも今の日本の劇場で採用されているのは
アナログ70mmフィルムを映写するものではなく
DLP(http://ja.wikipedia.org/wiki/DLP)という
映像表示システムを使用したIMAXデジタルというシステムで
この2つは全くの別物です。

描画力の性能を示す数値として水平解像度という言葉があります。
簡単にいうとディスプレイの中にどれだけの数の垂直の線が入っているかという
ことを示します。
ハイビジョン対応の普通に出回っているテレビの水平解像度が1k(1080)=約207万画素
商業映画で最も一般的な35mmフィルムの情報量がおおよそ4K=約800万画素
IMAXフィルムの情報量はおおよそ15K=約1億画素
になります。

そしてIMAXデジタルのシステムは
解像度2k程度の情報量と言われています。

つまりIMAXデジタルで観賞するということは
従来の35mmフィルムよりも
情報量の少ない映像を割り増し料金を払って見ているということになります。

最も映像の美しさ=画素数というわけでもないですし
アナログに比べてコピーの劣化がないとか
デジタルにはデジタルの利点があるのでしょうが何か釈然としないものを感じます。

私が専門学校で映像を学び始めた頃にはもうフィルム撮影学習など
ありませんでしたので、個人的にフィルムへのこだわりとかは全くないのですが
そんな現状もあるので「IMAX」と謳っている興行は観ないことにしています。

■ウラシマ効果

もはやSFの世界では当たり前にように使われているこの言葉
相対性理論は理解できなくても、「物体が高速で移動するほど、時間の流れが遅くなる」
という理屈は誰でも知っているでしょう。

本作は科学考証の面でも評価されていますが
ウラシマ効果は様々な作品で描写されてきました。

以下にその例をつらつらと述べていきます。

『猿の惑星』(Planet of the Apes)
猿の惑星
ではあの悪名高いオチに
NASAに科学的にありえる映画として選ばれた
『コンタクト』(Contact)
コンタクト
では逆回転が
日本ではアニメの例しか思いつきませんが
エヴァのクリエイター庵野秀明の監督デビュー作『トップをねらえ!』

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や新海誠監督の自主制作アニメ『ほしのこえ』

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あたりが印象的です。

そう言えばあのドラえもんにも浦島太郎は
宇宙に連れていかれてウラシマ効果を体験したのではないかと
検証しにいく『竜宮城の八日間』
竜宮城の八日間
というエピソードがありますね。

■最後に

日本では全くと言っていいほど知られていませんが
英語圏ではウラシマ効果はリップ・ヴァン・ウィンクル効果と呼ばれます。

リップ・ヴァン・ウィンクルはアメリカの短編小説の登場人物で
ヴァン・ウィンクルというおっさんが
山奥で不思議な人たちと酒を飲んでたらいつの間にか何十年もたっていた
という話です。

ちなみヴァン・ウィンクルの名前が付けられた
バーボンウイスキーがあります。
バーボンの中ではかなり度の強いお酒ですが
観賞後に時間に思いを馳せつつ呑んでみてはいかがでしょうか?

↓加筆。この記事の補足です。
IMAXデジタルなのか4Kシネマなのか
http://undersiege.blog112.fc2.com/blog-entry-198.html


リップ・ヴァン・ウィンクルリップ・ヴァン・ウィンクル
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ワシントン・アーヴィング、アーサー・ラッカム 他

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