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海街diary—感想・レビュー

■個人的評価 90/100
この4人をいつまでも見ていたい。


海街diary1

■あらすじ

鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。
葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。
父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、
そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。
その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。



また随分と更新間隔が空いてしまいました。
私は毎年劇場で50本〜60本くらい観賞するのですが
今年はまだ3本して観てませんでした。
そして実写はこれが今年最初です。

もっといっぱい観に行きたいのは山々なのですが
いかんせん今回の企画の制作にあまりにも金がかかるのと
制作規模が大きくなりすぎて心身ともに厳しいものがありまして…。

と、どうでもいい私の個人的事情は置いておいて
点数を見ても分かる通り個人的に大好きな作品です。

ですが、本当にストイックな是枝監督作も変わったなあとしみじみ思いました。 

■信じられないほどウェット

本作を手がけた是枝裕和監督と言えば
役者に徹底して抑えた演技をさせ、過剰な装飾一切なしのドライな商業主義に背を向けた作風が
特徴でした。
特にそれが顕著だったのがカンヌで主演男優賞を獲得した『誰も知らない』までで
この頃までは手持ち多用、BGMほとんどなし、ぼそぼそ喋りの超ストイックな作風が貫かれていました。

変化が見られ始めたのが『歩いても 歩いても』あたりで
この頃から人の絆や情といった物をウェットになりすぎない範囲で取りこんでくるようになってきました。

さらにTVドラマの『ゴーイング マイ ホーム』では主人公が号泣するという
それまでにはあり得なかったような分かりやすいウェットさが持ち込まれ
『そして父になる』とこの『海街diary』はその方向性の延長線上に位置しています。

開始15分あたりですず(広瀬すず)が幸(綾瀬はるか)にねぎらいの言葉をかけられて思わず涙をこぼすという
シーンがありますが、涙線がゆるい人はここでもう泣いてしまうのではないでしょうか。

しかも本作においてはこういったウェットなシーンが随所に見受けられます。
私は信じがたい気分でした。

■これはファンタジー

この話の主な舞台となるのは情緒あふれる鎌倉市内です。
海面に反射するキラキラした光、四季折々の美しい景色
それに主人公姉妹の属するコミュニティーにいるのは皆絵に描いたような
善人ばかり…。

そんな全てに守られたような美しい世界で4女のすずは
3姉妹と本当の家族になり、自分の居場所を確立していきます。

4人の掛け合いはひたすらに微笑ましくその姿は理想そのものです。

ですが、映画が終わった後に最初に感じたのは違和感でした。

鎌倉みたいな首都圏のそこそこ都会にあんな温かいコミュニティーは多分ないし
15年間知らなかった異母兄弟と簡単に仲良くなれるわけがないんです。
冷静に考えるとなんか気持ち悪い空間なんですよ。

でも良いんです、だってこれファンタジーだから。

膨大なディテールとリアリティで巧妙に隠されていますが
本作は美しい街の美しいコミュニティーと美しい家族を描いたファンタジーなんです。
同様な方向性で作られた最も近しい作品として田舎の美しい部分だけを抽出した
『天然コケッコー』がありますが、どちらにも共通して素晴らしいところは
抑えた演出で観賞中には麻酔にかかったようにこの違和感を感じさせないところですね。

これはすごい技術だと思います。

海街diary3

■カメラワークが商業的

是枝監督作と言えば手持ちかほぼ全編フィックス(固定)で構成され
強いストイックさを感じさせる一方で観易いとは言い難いものでしたが
本作では本当にカメラが良く動きます。

いままでもここというカットでは特機を用いていましたが
今回気が付いたのはステディカムショットとクレーン+ドリー(多分)の多さです。

被写体の間をたゆたうように移動し随所に見られる1カット長回しを
普通に観易いものしていました。
また引き気味のショットでも横移動のドリーがかなり頻繁に用いられており
脚色の上手さもあって今までにはなかったテンポの良ささえ感じました。

ただし、割とショットの中での動きが多くなった割に
シーンつなぎは簡素なままで印象に残ったのはシーン尻でのフェードアウトの多さでした。

私はシーン尻でフェードアウトを多用するのはあまりいただけないという持論を
持っているのですがこれを理屈として説明するのは難しいです。
(あえて言うならなんか編集が下手くそでセンス無しに見えるから)
そこそこ長いドラマものの編集をしたことがある方ならなんとなくわかりますよね?
それともそうでもないですか?

ああ、あと徹底して被写界深度が浅いの陰影がくっきりしたライティングはいつも通りでしたね。

録音も素晴らしく、主な舞台となる鎌倉の古民家の中では
しばしばあえて話す人物を映さず声をオフで入れるというカット割りが取られていました。
家の中だと本当に狭いんで壁をぶち抜けないとカメラワークも限定されるし
画づらにも狭さがどうしても出ちゃうんですが、家の中でも離れた場所からの声をオフで入れることで
空間の広がりを見せることができるようになります。

この音声の使い方が功を奏してか少なくとも私には
あの家が外に開かれた居心地の良い空間に感じられましたね。

■脚色の妙

私は原作を読んでいないのですが、原作は短編集のような短いエピソードの塊で
はっきりとした筋はないんですね。
原作では恋愛要素やあまり語られなかったサブキャラたちの掘り下げがかなりあるようですが
映画版では4姉妹が家族になっていく過程にフィーチャーして脚色されています。

4人の中でも特に長女の幸とすずの描写に多くの時間が割かれています。
この2人は似たもの同士として描かれ
姉妹の世話で子供時代を失ってしまった長女が、似た境遇のすずの子供時代を作ってあげようとする
泣かせる要素満載なメロドラマとしてすっきりとした構成に仕上がっています。

脚色の妙だと思いますね。

海街diary2


是枝節ともいえるちょっと言い間違いしたりとか同じ言葉を繰り返したりする
リアリティあふれる台詞まわしも見ものです。

■まとめ

海外進出は失敗!?長澤まさみ「海街diary」、現地批評家たちが下した評価は?
http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20150524/Asagei_36903.html

上記の記事の通りカンヌでは評判はイマイチでしたが
それで面白いかどうか判断を下すのは間違っています。
そもそもこんなウェットな作りのメロドラマがひねくれ中二病患者だらけのカンヌの評論家に
受けるはずがありません。

この結果はあまり普段映画みないライトな映画ファンでも
問題なく楽しめるということの裏返しでもあります。

原作ファンもメイン4人を愛でたいファンも後悔しないと思います。
今、興行収入では『ラブライブ!The School Idol Movie』が首位を走ってますが
ラブライバーのみなさんも2次元だけじゃなくてたまには3次元もいいものですよ!

コメント

撮影お疲れさまです。
ブログの更新楽しみにしてます。

自分も海街diary観ました。
今までの是枝監督の撮り方とだいぶ違う印象だったのでブログを読んで納得しました。

カンヌは荒廃した人間関係だとか社会性が重視されていますしね・・・

なにはともあれ是枝監督の映画が好きです!
2015/ 06/ 22( 月) 13: 04: 50| URL| 蓋# -[ 編集 ]
 
コメントありがとうございます。

私も是枝作品は大好きです。
確かに今までとテイストは違いますけどちゃんと作家性は発揮されてましたし
個人的にはとても満足でした。

> 撮影お疲れさまです。
> ブログの更新楽しみにしてます。
>
> 自分も海街diary観ました。
> 今までの是枝監督の撮り方とだいぶ違う印象だったのでブログを読んで納得しました。
>
> カンヌは荒廃した人間関係だとか社会性が重視されていますしね・・・
>
> なにはともあれ是枝監督の映画が好きです!
2015/ 06/ 28( 日) 21: 52: 20| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 

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