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実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』と原作の相違点。


■個人的評価 68/100
ゴースト・イン・ザ・シェル
原作から哲学的要素を消し去った分かり易いSFアクション映画。

■あらすじ

世界でただ一人、脳以外は全身義体の世界最強の少佐(スカーレット・ヨハンソン)率いるエリート捜査組織公安9課は、
ハンカ・ロボティックスの推し進めるサイバー・テクノロジーを狙うサイバーテロ組織と対峙。
しかし、捜査を進めるうちに事件は少佐の脳に僅かに残された過去の記憶へと繋がり、
彼女の隠された過去を呼び覚ますのだった。
「私は誰だったのか……」やがて、彼女の存在をも揺るがす衝撃の展開へと発展していく……。

※タイトルを読めば予想つくかと思いますが本作及びオリジナル作品と
攻殻機動隊シリーズのネタばれがあるのでご注意ください。

 

■最初に。

先週末封切りになった実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観てきました。
本国ではRotten Tomatoesで支持率40パーセント台の低評価で
製作費1億ドル越えの超大作なのに初登場3位と批評的にも興行的にもかなり厳しい感じになっているので
私も一抹の不安を覚えていましたが実際観てみて「こんなに酷評されるような出来かな…」
と思ったのが正直なところです。

オリジナルの押井守版は電脳SFのマスターピースとも言うべき傑作と評価されており
あの哲学的要素を消し去ってしまったことが原因かなと思ったりもしたので
今日は日本で作られた攻殻機動隊と比較しどのように脚色されたのかを書いていきます。

ちなみに私は
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
『イノセンス』
『攻殻機動隊 ARISE』
そしてTVシリーズの『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』
を観賞済みで、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』と
続編の『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』のBD-BOXを
所有しているくらいにはファンです。

■どう改変されたのか

まずどうも誤解があるようなのですが本作は
1995年の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(以下GIS)の実写化として
作られているわけではありません。

正確にはGISとTVシリーズの『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(以下SAC)
続編の『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(以下2GIG)の要素を併せ持った
オリジナル作品として作られているのです。

今回少佐たち9課の敵として登場するクゼはGISの登場人物ではなく
2GIGの登場人物、公安9課自体が標的になる展開はSACの終盤と同じ
といった感じで色々とまぜこぜになってます。

以下にキャラクター設定の違いを挙げていきます。

・少佐(草薙素子)
実写では元反政府組織のメンバー、ハンカ・ロボティックスの陰謀で
全身義体化のテスト例にされる。最初の全身義体化成功例。
元軍属でもないのに少佐と呼ばれている理由は不明。

オリジナルでは元軍属で世界最高の義体使い。
幼少時に遭った飛行機事故から生き延びるため全身義体化。(SAC設定)

・クゼ
実写では少佐の前の義体化テスト失敗作。
少佐と同じ反政府組織のメンバーだった。

オリジナルでは元自衛隊員のテロリスト。
日本の難民居住地域に住まう移民を武装させて独立国として認めさせるために
核武装を企てる。
幼少時に少佐と同じ飛行機事故に遭遇し全身義体化。
病院で顔を合わせていた。

またクゼはGISとSACの重要キャラクターである
人形使い(正体はネット上で急速進化したAI。GISに登場)と笑い男(SACに登場するハッカー)
の要素を併せ持った存在として描かれており
人形遣いからはゴーストハック能力を
笑い男からは陰謀を暴くという行動原理を受け継いでいます。

実写ではかなり話が簡略化されており少佐とクゼ以外の登場人物の
キャラクター設定がどうなっているのか分かりかねる部分が多いのですが
他に実写ではバトーさんの眼が途中で義眼に(オリジナルでは元々)
荒巻課長が銃をぶっ放したり(オリジナルでは現場に出てくる事はまずない)
といった違いもあります。

■受け継がれた部分

逆にオリジナルから受け継がれた部分もあります。

特に印象的なシーンが3つあり
ここまで忠実に再現してくれたことには感動を覚えました。

1.少佐がビルからダイブ
dive.jpg
攻殻のビジュアルイメージを決定付けたシーンですが。
光学迷彩を身に付けた少佐がビルからダイブするアレです。
(オリジナルではGISの冒頭シーン)

2.迷彩来た男と水上で格闘。
water.jpg
これもGISからの再現ですね。
このシーンはオリジナルからカット割と構図までほぼ完ぺきに再現されてました。

3.戦車と肉弾戦
tank.jpg
こちらはシチュエーションがアレンジされていましたが
SACの第2話「暴走の証明 TESTATION」から戦車の上に飛び乗って
制すという部分が再現されていました。
この話はSAC全26話の中でも特に人気が高いエピソードで
1と2だけじゃなくここを再現してくれたことは嬉しい驚きでした。
(正確には相手が多脚戦車だったのでGISのラストバトルとの折衷といった感じ)

また何より嬉しかったのが吹き替え声優陣を
オリジナルのままにしてくれたことです。
なのでいつもは字幕派な私ですが今回だけは吹き替えで観ました。
川井憲次のあの曲もしっかりつかわれています。

■まとめると

ストーリーについてですが良く言えば分かりやすい
悪く言うと単細胞で日本版が全てのシリーズを通じて保っていた
哲学的要素はほぼ皆無になっていました。

GISで少佐はネットの海に消え、SACでは陰謀は暴かれたけどまだ悪の芽は潰えず
2GIGでも核の危機は去ったけどまだ国内にも国外にも問題山積と
決して言い切りの形で話を畳まなかったのが攻殻シリーズの魅力であり
コアなファンを生み出していた理由でもあると思うのでこの実写版
そもそもGISである必要なかったんじゃないの?という疑問はあります。

また、Rotten Tomatoesの低評価には時代性も多いに関係があると考えます。

GISが公開された1995年はMicrosoftがユーザフレンドリーな画期的GUIを搭載するOS
Windows 95 を発表した年であり、この年から急速にコンピューターネットワーク
が普及していきました。

押井守監督は1980年代にすでに『機動警察パトレイバー』で
OSやコンピュータウィルスに言及しておりGISはその発展形とも言える
作品だったのです。
つまりGISは当時本当に新しく、そしてライブ感があったわけです。

何が言いたいのかと言うと一番大事なのは時代性であり
オリジナルの哲学的要素を忠実に再現したところで
実写版のGISは評論家たちが満足するような作品に本当になったのかなあ…と。

個人的には大衆向けでない忠実な実写化を観たかったとも思うのですが
時代性を考えると上澄みだけ掬ったこういう作りであっても仕方がないのかなと。
少なくともオリジナルへの敬意は感じましたし、1ファンの目線から見ても
それなりに楽しめる実写化ではあったと思います。

というところで今日はここまでです。

今、一昨年から去年にかけて撮影していた自主映像の仕上げ作業をしているところで
現在進行形のポストプロダクションを含めて色々思ったところがあるので
次はそのレポートでも書こうかなと思っています。

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