岩井俊二が偉大すぎた。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

■個人的評価 60/100

あらすじ
とある海辺の町の夏休み。
中学生たちは花火大会を前に「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」という話題で盛り上がっていた。
そんな中、クラスのアイドル的存在のなずなが、母親の再婚のため転校することになった。
なずなに思いを寄せる典道は、転校をしたくないなずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする。

2017打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?


私が初めて観た岩井監督の映画は『Love Letter』でした。
それから夢中になり『四月物語』を観て「この人なんかおかしいんじゃないか?」と感じ
『リリイ・シュシュのすべて』を観て「この人やっぱおかしいは」と感じ
『花とアリス』を観て「この人ロリコン?」と感じ
本作の原作である『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観て
「あ、この人完全にロリコンだわ」と納得したものです。

もともと『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1993年に放送されていた『if もしも』
というオムニバスドラマの1編として放送されたものをキネコして1995年に劇場公開したものでした。

この時代1995年には3CCDを搭載した高画質DVカム、VX1000が登場した頃で
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も業務用DVカムの、のっぺりした画面に
色調補正を加えてフィルムライクな画面にしたものをキネコしてフィルム上映しているので
現在へと続くデジタルシネマの先駆け的作品と言えるかもしれません。

VX1000の登場は相当に衝撃的だったらしく、私が映像を学び出した2010年ごろ
まだその後継のVX2000を使っている人もいたくらいでした。
その当時でもかなり時代遅れでしたけど。
またVXシリーズの後にパナソニックが出したDVX100シリーズは
DVカムなのにフィルムと同じ24フレームでプログレッシブ収録ができるという優れ物で
2000年代前半のDVDスルーみたいな低予算映画に良く使われていたようでした。

などと内容とあまり関係ないことは置いておいて
本作観終わったあとに浮かんできた感想はただ一つ
「岩井俊二版のオリジナルって本当に完成度高かったんだなあ」
ということでした。

本作はキャラ設定をオリジナルからかなり改変しているのですが
最も大きい部分は主要人物が皆、小学生から中学生になっているということではないかと思います。
個人的にはこの設定の改変があまり上手くいってない気がするんですよ。
主に2つの理由で。

物語の転換になるきっかけは「打ち上げ花火を横からみたら平べったく見えるのか?」
という少年たちの素朴な疑問にあります。
いくらなんでも中学生にもなったら花火を上からみたら平べったく見えるんじゃないか
なんていう馬鹿げた疑問は持たないんじゃないですかね?
だって花火の火花は放射線状に広がるんですよ?

もう1つがオリジナルにあった岩井監督の変態的なフェティシズムが改変によって薄れている
という点です。
広瀬すずさんが声をあてているなずなですが、
オリジナルでは当時13歳だか14歳だったかくらいの奥菜恵さんが演じていました。
社会的に十分子供の年齢ですが外見は大人と子供の間にあるような
絶妙な造形の被写体のうなじやふくらはぎを執拗に狙う変態的なフェティシズムに
オリジナルは溢れており、さらに小学生という設定年齢が危うさを倍増させていました。
本作ではアニメのキャラになって肉感がなくなった上に年齢も上がって
オリジナルの持っていた最大の危うい魅力が限りなく薄れてしまったように感じました。

あと、脚色にあたって終盤の展開が大きく変わっていますが
私としては何がしたかったのかちょっとよくわからなかったです。

とか悪口ばかり言ってしまっているようですが
少なくても観ていて苦痛とかはなかったですし、序盤から中盤にかけては
空気感を今の時代に再現できていたように感じましたので特に悪感情とかはありません。

それより、ほとんど何も共通点のない『君の名は。』と無理やりリンクさせるような
宣伝の方法は、そういうの期待して観に行ったお客さんもがっかりするし
そういう方が増えると作品の評判も落ちてしまい誰も得しないのでやめていただきたかったです。
 

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