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役者は誰のために演じるのか?役者が気持ちよく演じるとき、観客は気持ち悪い。舞台と映像の演技の違いについて。

プロフィールにも書いてますが
自主映画を撮ってます。

まあ「映画」なんて自称できるような物を
作ってはいないですが
ストーリー仕立ての動画を作っていることは
間違いありません。

さてそんな僕の乏しい経験から言って、
製作する時に困るものが3つあります。

まずは天気、次にスケジュール調整。
もっともこの2つは自分の力でどうにかなるものでもないので
駄目なら駄目で諦めもつきます。

問題は3つ目で演技指導です。
自主映画というマニアックな世界に踏み込んだことの
ある方は分かるかと思いますが
基本的に自主映画演技はクサイです。

なぜなら役者さんが自分の気持ちいいように
勝手に演じてしまうからです。
酷い人は本当に自分のことしか考えてないので
会話がなりたたず
独り言みたいになっちゃってたりします。

じゃあなんで気持ち良く演じちゃ駄目なのか?

そこのところを映像の演技って何だろう
という観点からつぶやいてみます。 
■舞台と映像の演技は違う。

舞台。
舞台演劇

前述した気持ちよく演じるということについてです。

基本自主映画の役者さんというのは
スタッフの知り合いの演劇関係者が多いようです。

演劇というのは舞台でやるものであり
それなりの規模の小屋でやれば、
声を張って、アクションも大きくしないと
遠くの観客には全然伝わりません。

そのため演劇をやってる役者さんは
映像作品に出ても同じ演技をしてしまいがちです。

映像にはバストアップやクロースアップという
寄りの画面があります。
アップになった時に演劇みたいな演技をすると
ただただくどいだけです。

大体、日常的に人間は怒りや悲しみの感情を
露にすることは少ないです。
抑制的な日本人なら尚更でしょう。

このようにして役者さんが気持ちよく演じるほど
独りよがりで観客には押し付けがましく
芝居がリアルから遠ざかっていくわけです。

■監督がコントロールすること。

巨匠スタンリー・キューブリック。
完璧主義者で役者のアドリブなどは絶対に許さなかったという。

キューブリック

リアルな演技を追及するなら監督は
常に誰かはみ出さないように監視している
必要があります。

僕は自分が監督するときには役者さんに
こうお願いしています。
「今、自分が演じていて気持ち良いなと
思ったら失敗だと思ってください」

この言葉は僕のオリジナルではありません。
映画『歩いても歩いても』のメイキング映像で
是枝裕和監督が言っていた言葉を拝借しました。

是枝監督は日本を代表する映像作家で
多くの作品が海外でも高く評価されています。
監督の映画に出演すると、どの役者さんも
素晴らしい役者さんに見えます。
「役者に余計なことをさせない」という
監督の哲学が浸透しているからなんでしょうね。

■演出していてイライラする時

僕はオーバーな演技が大嫌いです。

高倉健さん。オーバーアクトとは無縁な方。
演じる役は常に男の中の男。

高倉健


ちょっと歪んだ言い方かもしれませんが
現場で「今こいつ気持ちいいんだろうな」
と思うと役者さんに対して怒りの感情さえ抱きます。

そういう時僕は、画角を調整して、照明を当てて
マイクマンがギリギリの角度で入っていって
というスタッフ側の苦労を踏みにじられた気分になります。

かつてこういうことがありました。
その頃僕は映画学校に在学中で
自主映画を撮り始めたばかりでした。

同じクラスで一本自主を撮ろうとなった時
兄が演劇をやっていたので
お願いして出てもらいました。

が、これが失敗でした。
とにかく演技がオーバーでしかもやたらと
格好つけようとするのです。

ファインダー越しに僕はずっとイライラしていました。
とは言えお願いして出てもらっている手前も
あるので駄目だしは一切出来ませんでした。

でも悪いことばかりでもありませんでした。
映像が完成して、試写を見た兄は言いました。
「すげー下手だな。俺」

その後兄は演技のスタイルを180度変えてくれました。
安定感は抜群なので
撮影中の中篇でも主演に起用しています。
今では一番信頼できる役者さんだと思っています。

今現場で悩んでいるのはベテラン俳優さんの
扱いです。

明らかに演技が浮いてしまっているのですが
直しても直しても元に戻ってしまって。。

■日本のドラマは演技が過剰?
こちらの記事
http://dramanavi.net/column/2011/08/2-2.php
に日本のTVドラマは演技が過剰だというような
ことが書いてありました。
僕もその通りだと思います。

ここ数年の人気作品でも
『JIN-仁-』『ROOKIES』(どちらもTBS)
など登場人物が常に青筋立てて叫んでいるか
泣いているドラマの比率はかなり高いです。

『JIN-仁-』大沢たかおさんも内野聖陽さんも
演技が全部NGだと思う。

JIN.jpg

というより1クール12本の連続ドラマがあったら
そのうちの10本は演出も演技も大げさです。
視聴率が良いのは分かりやすいからなんでしょうか?

逆に抑制の効いたリアル指向のドラマ
数えるほどしかありません。

最近だと『流れ星』に『フリーター、家を買う』
今クール放映されている『それでも、生きてゆく』
あたり。これは全部フジですね。

『それでも、生きてゆく』
抑制された演技とリアルな会話の数々。
登場人物が普通に言い間違ったり、どもったりします。

それでも、生きてゆく

視聴率がいまいちで残念な限りです。
こういう良作がちゃんと見てもらえないのは
視聴者のリテラシーのせいもあるのでしょう。
残念な限りです。

■日本の抑制が効いた演技をする役者さん。
舞台や小劇場出身の俳優さんが増えたためか
主演を張るような役者さんには
オーバーアクトな方が増えた気がします。

それでも以下の方たちはいつもぶれずに
抑制の効いた演技をしている印象があります。

満島ひかり『愛のむきだし』『川の底からこんにちは』『悪人』など
蒼井優『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』
『ニライカナイからの手紙』『フラガール』など
麻生久美子『カンゾー先生』『回路』『夕凪の街 桜の国』など
西島秀俊『ニンゲン合格』『さよならみどりちゃん』『好きだ、』など
浅野忠信『バタアシ金魚』『青春デンデケデケデケ』『幻の光』
『風花』『座頭市』『モンゴル』『劒岳 点の記』『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』など
渡部篤朗『スワロウテイル』『愛のむきだし』『コトバのない冬』など
山崎努 いっぱい
大竹しのぶ いっぱい
樹木希林 いっぱい


演技がくどい俳優さんはいっぱいいすぎて
挙げきれません。
有名どころだと
香川照之さんとか藤原竜也さんとか
佐々木蔵之介さんとか

このあたりでしょうか。
くどいというだけで単純に下手とはいえませんけど。

今日はこんなところで。

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降ったり晴れたりさん
ドラマ『それでも、生きてゆく』が素晴らしい

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コメント

相互RSSのご依頼ありがとうございます。
早速、こちらからもRSSに登録させていただきました。(反映には少々時間がかかるかもしれませんが…)
相互RSS同士、末永く宜しくお願いいたします。<(_ _)>
2011/ 08/ 30( 火) 21: 58: 35| URL| 江戸川長治# -[ 編集 ]
 
伊丹十三作品なんかは宮本信子を筆頭に、これでもかとくどい演技を披露してますが、演技の隙間というか、ほんの一瞬だけ素の表情や仕草を映すとこがたまらなく好きですね!
気のせいかもしれませんが。。
2011/ 09/ 05( 月) 21: 56: 53| URL| BlueNote# -[ 編集 ]
 
伊丹監督の映画はどれも大好きです。
自然体の演技が常に正解なわけでは無いですしね。
その辺は監督次第じゃないでしょうか。
> 伊丹十三作品なんかは宮本信子を筆頭に、これでもかとくどい演技を披露してますが、演技の隙間というか、ほんの一瞬だけ素の表情や仕草を映すとこがたまらなく好きですね!
> 気のせいかもしれませんが。。
2011/ 09/ 12( 月) 23: 27: 46| URL| ランボー怒りのサービス残業# -[ 編集 ]
 

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